【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ21)

今日:2 hit、昨日:19 hit、合計:15,144 hit

２１ページ21

「それでね？聡介さんったら泉さんを一目見て無理だって言ったのよ」

酷くない？と少し顔をしかめて怒っていますよと言う雰囲気を出す。

「え？普通に諦めた方が現実的だと思うけど」

だいたいそれならなんであれが頼んてくるのか意味がわからないと首を振る。

「あぁ、それは多分だけど泉さんが私のお友達という設定で来るからね」

その言葉でAは泉を見た。

じっと泉は見られて違和感を感じた。

そしてその違和感を口に出した。

「あの、もしかして、間違ってたら失礼なんですけど、初めてお会いしてから初めて私のことを見ましたか？」

「そうだね」

と言い淀むどころかさも当然だと言うように答える。

青山と夏目は少し目を見開く。

「どうして驚かれるのかな。じゃあ君達は横断歩道ですれ違う人間を一人一人見るの？」

それはとっても疲れるねと笑みを浮かべる。

「どうにかなりそう？」

みのりに問われるがさぁ、と答えるだけだった。

「立って。手をまっすぐ前に伸ばして」

泉が戸惑いながら指示に従う。

「貴方、銃を撃つ時に弾が左下にぶれるし左側にこけそうになるんじゃないの」

その言葉にマトリの三人は驚きを隠せないでいる。

彼女が言った指摘はその通りだった。

その後もこまごまと指摘される。

時々むっとしそうになれば生活の中での不便や不都合を的確に言い当てられるのだ。

そして時々みのりにも指摘していく。

「だいたい、今回はみのりさんの妹君も参加されるのにこんなのを庇うなんて無理でしょう」

妹君という言葉に少しみのりは顔を強張らせる。

「え、えぇ。でも、周りのお友達もいるし」

「それは、泉さんがへまをして貴方と一緒に助けてくれる人間ですか？」

その言葉にみのりは黙り込む。

恐らく、聡介が無理だと言った最も大きい理由がそこなのだろう。

２週間後に泉たちが行こうとしている世界は女性たちがにこやかにお茶を飲むだけの生ぬるい世界ではないのだ。

Aは盛大に溜息を吐いた。