【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ11)

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「で？泉さんは今どこにいるの」

「ふ、ふふ。それが人に聞く態度ですか」

と、胸の上の足をどけようとするがびくともしない。

「その足が僕の上にある限りはこれ以上何も言いませんよ……。天才と謳われた貴方なら分かるかもしれませんが」

「全知全能って訳じゃないから何でも分かるわけじゃないんだけど。まぁ、分かってしまったものは仕方ないね」

と携帯を取り出して耳に当てる。

「A。今どこにいるの。……そう。いい子だ。その近くにスタッフルームがあるはずだからそこから二階に上がってすぐの部屋……いや。次くらいがよさそうだね。そこに泉さんはいると思う」

そこから注意点を何点か上げて頑張るように言うと切った。

「ほら、分かっているということは内通者なんじゃないですか？」

「いや？この建物は二階で基本的に参加者は一階にいる。何かあればそれなりに騒ぎになるか噂の種になるだろう。そうでないなら二階の方が可能性が高い。二番目の部屋は階段の音や隣の部屋の音が聞こえやすくて都合が良いから」

ね？とにこやかに言いながらも足を退ける気配はまだない。

しかし、男の方もニヤケ面を辞める気配を見せない。

「良いんですか……？今の彼女はコンディションもメンタルも最悪です。そんな人間が」

「君はAの事を見ておいて何も知らないんだね。何を見ていたんだか。そんなに弱い人間なら俺は社長なんてやってないし結婚もしてないしこんなに可愛がっていないよ」

わざとらしい大きな溜息を吐く。

流石に今までやってきたことを否定されて苛立ったのか男は顔をしかめる。

「まるで、貴方がAちゃんに依存しているみたいですね」

「しているよ。俺は彼女という人間を知った15年前からずっと依存も尊敬している」

そういって足をよけるとAが落としたハンカチと写真を手に取る。

ハンカチはもういらないと言いたげに男の上に落とし、写真を見る。

「証拠をどうもありがとう。哲坊。もう帰っても良いよ。というか帰った方がいい。家族との最後の時間を過ごすといいさ」

そう優しく微笑む聡介に恐怖を覚えたのか男は逃げるようにして逃げていく。

聡介は見えなくなるまで手を振って見送ってから携帯にまた耳を当てる。

「もしもし。速達で内容証明を送っておいて。Aの夕飯は雑炊とかにしてあげて。多分あの調子じゃ食事もまともに取ってないだろうし。何より好物だからね」