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それから10分ぐらい経って一台の車が近くに止まる。
中からスーツを着た女性が出て来た。
一つにまとめた髪を左肩に流して、おっとりとした垂れ目、口元はふんわりとしているのにだらしがないという印象がない。
そして、極めつけに左頬が赤く腫れあがっていた。
「お疲れさん。ほれ」
といつの間にか手に持っていた保冷剤を手渡され、女性はお礼を一言言って泉と対峙する。
「初めまして。泉さん。警視庁捜査一課所属、飯島Aって言います。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
と泉は差し出された手を握った。
それから青山にも軽く挨拶をして飯島は被害者女性がいる場所へと一人で向かった。
「だ、大丈夫ですかね」
「事情聴取の事だったら大丈夫だと思うよ。あの人、結構凄い人だから」
「まぁ、蒼生の同期の中で唯一コンビを組んで置いて行く側の子だからねぇ。聴取初心者のマトリちゃんよりはまともに取って来るんじゃないかね」
「まともに取ってこれなくてすみません……」
そんな会話ののち、残った6人は事件の詳細について更に詳しく話始めた。
「最近、女性を中心に薬をお試しに投与されるというものがあり、それに伴う暴行もありまして。今回の被害者女性は未遂だったので話を聞いている現状です。ですが」
「警戒心が強くて男性恐怖症もある。ですか。でしたら売人の方は女性ということでしょうか」
「そう、だと思うのですが何せ話してくれないもので」
「今回の被害者女性が未遂だと言っていたがどういうきっかけで保護をしたんだ?」
「えっとですね。今回の件が起きるポイントを三つぐらいに絞ってそれぞれ3つのグループに分かれて張り込みを行っていました。あとで関さんたちも合流するはずです」
なんて話を進めていると被害者女性を連れた飯島が出て来た。
女性の方はいきなり増えた男性たちを見ると顔を青くして恐怖で歪ませた。
「大丈夫ですよ。今後の事情聴取等は私が担当します。少し、仕事の話がありますので私の車で休んでいてください」
と飯島が後部座席のドアを開くと女性は逃げ込むように入り込む。
飯島は大きめのブランケットを渡していくらか会話するとドアを閉めて泉たちが集まっている方へ向かった。
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作者名:弥生 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hakuoukiyayoi http://
作成日時:2022年4月22日 0時