【まほやく】御伽噺のような (ページ9)

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翌週の早朝。

既にそこにはAの姿があった。

A「うん。朝からこんなに美味しいご飯を食べられるならどこかに所属するのも悪くないね」

ネロ「そ、そりゃあどうも」

A「あぁ、早朝から失礼したのにご丁寧に朝ごはんを出してくれた君にはこれをあげようね」

とネロに魔道具の一つを渡した。

A「少し手間な魔道具だけどこれに水を入れて一週間置いておくととても美味しい塩ができるんだ」

そういって小瓶からネロの指先に少量の塩を出した。

ネロは訝し気に舐めると目を見開いた。

ネロ「こりゃあうまいな。良いのか？そんなものを」

A「良くなければあげないさ」

よしよしとネロの頭を撫でた。

賢者「お、おはようございます……お早いですね」

A「おはよう。賢者様。そういえば時間や詳細を聞いてなかったからね。まぁそのおかげでこうして美味しい朝食をいただけている」

ネロ「おはようさん。賢者さんも食べるか？」

賢者「あ、はい。いただきます」

と賢者も朝食を食べ始めるとぞろぞろと起きてくる。

スノウ「スキラの奴、また一段と強くなっているかもしれんな」

A「それは怖い話だね。もしもの時は守っておくれよ。逃げるのと回復は任せてくれていいよ。心臓さえ動いててくれれば治すから」

フィガロ「相変わらず常識知らずな魔法ですね」

A「おやおはよう。早いね。今日は君も来るのかい？」

フィガロは首を振って向かいに座った。

フィガロ「いいえ。一つお願いがありまして」

A「私の気分に合わなければ聞かないよ」

フィガロは頷いてから用件を言った。

A「その程度の事を頼みに来たのかい？」

そういうとAはおかしそうに笑う。

フィガロ「……何かおかしなことでも？」

A「いいやいいや。随分と丸くなったなとね。いいだろう。それに関してだけは約束しよう。可愛い坊やの願いだ。こんな老いぼれでいいなら聞いてやろうじゃないか」

そう言ってフィガロの頭を撫でた。