【まほやく】御伽噺のような (ページ32)

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ノア「それなら国は滅ぼしただろう」

A「違う違う。ルガイドがもっとちいさい時に、お前が困って私が閉じ込められている塔に放置していた時だよ。好きで滅ぼした訳じゃないよ。そうしないといけないように君が盤面を整えたんだろう？」

困ってしまったよと笑う。

A「世界を見なさい。ノア。お前の息子にも言ったが、くだらないと思っているものもふと目を向けてみれば案外可愛いところもあるんだよ。現に私はお前が可愛いからルガイドの仕返しも妹の仇も討てないでいる」

深く溜息を吐く。

それに合わせて影が揺れる。

バイコーンが出てきてAに寄り添うように立つ。

スコルやハティ達も出てきて慰めるような仕草をする。

Aは一匹一匹の頭を撫でてありがとうと言う。

A「こんなに家族がいるのに削れた分が埋まらない。空っぽになるんだよ。こればかりはいくら歳を重ねても変わらない」

お帰りというと魔獣たちは陰に戻っていく。

バイコーンは残りたそうにしていたがAが頷くと名残惜しそうに戻って行った。

ノアは迷うように視線や手を右往左往させる。

A「おいでノア。許してはあげられない。きっとこれが終わったらお前に罰を与えなければいけない。だけど今だけはおいで」

ノアはどこか泣きそうな顔をしながら近づいていく。

しかし、途中でAは空を見上げてすぐにノアを突き飛ばした。

ノアが居たところ。Aの伸びた腕に魔法が直撃した。

肘から先が飛ばされる。

アーサー「A様！」

シノ「敵襲か！」

A「来たらだめだよ。此処が魔法陣の中心だと分かっての攻撃だろう。オズを守りなさい」

カイン「だけどあんたが！」

A「大丈夫だよ。私の弟子は二人とも優秀だからね」

そういって笑うAの周りに蝶が舞う。

そしてAの手には拭き飛ばされた手が握られていた。

そして、次の瞬間にはルガイドの剣に突きさされた状態で魔法使いが勢いよく落ちて来た。

Aは腕をくっつけるとベルを取り出した。

A「一人残らず石にして私の前に出しなさい。折角だからちょっとした大技を使ってあげようね」