【まほやく】御伽噺のような (ページ31)

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ノア「なにを企んでいる」

A「華がないなってね。まぁ、個人的には剣の方がありがたいけどね。魔力節約したいし」

と空を見上げながら言う。

それぞれがつられてみると空には大きな模様が描かれていた。

アーサー「あれは……！」

オズ「Aの魔法陣の一部だ。大きさから、まだ大きくなるということは国全体に魔法をかける気だろう。……無謀な話だ」

A「酷い言われようだね。可能じゃなきゃやらないよ。犬死になんてごめんだから」

ノア「邪魔をするならお前でも容赦はしない。それに教え子の仇もある」

あぁ、とAは何かを思い出すように目を見開いた。

A「こちらも、我が子同然の坊や達に手を出されてそれなりに怒っていたんだよ。強くなる子だとは思ったけどね。それとなく教えた魔法もすぐに飲み込んで使いこなせていた」

ノアはぐっと歯を嚙み締めた。

悔しそうにAを睨みつける。

呪文を唱えると影の触手がAの周りに現れる。

ノア「どうしてお前はそいつらに味方するんだ」

そいつらとは恐らく賢者と賢者の魔法使いのことだろう。

A「味方というわけじゃないけどこっちの方が楽しそうだからお手伝いしているだけだよ。こうみえて私は寂しがり屋だからね」

そう言ってAは悲しそうに笑う。

ノア「俺は、楽しい世界の為に……腐った人間たちを正そうとしているのに。お前は先日見たはずだ。あそこにあった悍ましいものを」

A「……この間のパーティのことかい？」

ノア「あぁ、人も、趣味も皆腐っていた。お前のところのドラゴンの子供と卵のはく製や檻に閉じ込められた小さな魔法使いを。石になった魔法使い達を。そして怒ったはずだ」

A「確かに、あまりにも悪趣味で少し心を乱してしまったよ」

ノア「なのにお前は何もしなかった。何もしてくれなかった」

ノアは苦しそうに胸を抑える。

それに引き換えAは溜息を一つ吐く。

A「そうだね。だから小さい方は助けて知り合いに預けたよ」

ノア「腐った人間にワインをかけて終わりだというのか？」

A「私が満足するために必要以上の事をしろというのは彼らと同類になれと言っているのと同じだと思うのだけど。違うとは言わせないよ。もし、自分の正義のためだけに動けというなら私はルガイドを迎え入れた時点で君達と国を滅ぼさなければいけない」