天月学園高等部 (ページ6)

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六話尾崎南side ページ6

南は一階の食堂に行き、扉を開けた。
すると、そこには、

「ああ!!
私のウィンナーが!!」

ウィンナーを床に落として悲鳴を上げる、桜庭(さくらば)月夜(つきよ)がそこにいた。

「だ、大丈夫だよ!!
３秒ルール、３秒ルール!!」

近くで食事を取っていた、綾瀬(あやせ)雪菜(ゆきな)が応援でもするかのように励ました。

「…」

それを、南は冷めた目で見つめていた。
南と、雪菜と月夜の目が合う。

「えっと…。
お邪魔しました」

そう言って南は扉を閉めようとする。

「やめてェェェ!!
お願いだから、そんなゴミを見るような目で見ないでェェェ!!」

雪菜の悲痛な叫びが南達が暮らしている寮―桜寮に響いた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

学園には３つの寮がある。
桜寮、菫寮、霞寮。
中でも、南、雪菜、月夜達がいる桜寮は、アットホーム的な雰囲気を持つ寮だった。

「で？
どうだ、朝っぱらから騒いだ感想は？」

「すごく…痛いです…」

そういう月夜の頭にはたんこぶが一つできている。
また、隣に正座する雪菜の頭にもたんこぶができていた。
あの後、あまりにもうるさく謝るものだから、一発ずつ殴っておいたのである。

「朝からギャーギャー動物みたいに騒ぎやがって。
発○期か？」

「違います…」

雪菜は涙目で答えた。
そんな彼女達を横目に、南は朝ごはんを食べ始める。

「全く…。
他の奴らのことも考えないんだから…」

ブツブツとねぶり箸をしながら、南がちらりと窓を見やったその時だった。

「あれは…六花？」

「本当だ。
どうしたんだろ？」

お約束事で、たんこぶが治った雪菜が南と同じ方向を見る。

「何やら真面目な顔をしているな…。
よし、追うか」

「へ？」

月夜が呆気に取られている間に、南は高速で食事を終えると、食器を片付けて、自室から鞄を持ってきた。
その間、約２分である。

「んじゃ、置いてくぞ～」

「え、ちょ、おま…」

二人に突っ込む隙も与えず、南は寮を出た。
その背中を、二人は呆然と見送るしか無かった。