天月学園高等部

四話 三田 優人side ページ4

「…なんか、騒がしい？」

少し離れた小高い丘の上。
そこで、僕はいつものように【空間監視】をしていた。
まあ、特にやることがない上に少しばかり嫌な予感がしたからここにいるだけなんだけども。

学園の方に誰かがいる、何かをしているようなので学園の方を見てみる。
この能力はカメラと同じように映す場所を絞った方がくわしく映るので何をしているのかがわかってきた。
僕が見た様子は理事長が話している様子だった。

「通話中…かな？」

電話の受話器を耳にあて、口が動いている。
ということは十中八九通話中だろう。
ただ、まだ僕自身が未熟な分、会話の内容や音声まではわからないのが問題だ。
ここは…六花を呼ぶか、僕自身が向こうへ向かうか。
ただ、今思い出したことがある。
そうだ、今日は生徒会の仕事があるんだった。
どっちみち向こうへ行かなければならないのだが調査をしている暇は多分ない。
と、なるとやはり……

“…六花？起きてる？”

某SNSアプリにてそう送ってみると１分もしない間に返事が返ってきた。

“起きてるよー。なにー？何か用？”
“いや、１つお願いがあって”
“ん？何々？”
“学園の方で嫌な予感がする。それに理事長がこんな朝から電話することなんて少ない。だから、それを調べてほしいんだけど……”

返事が少し滞った。
彼女も彼女で文字を打つのはまあまあ早いんだけど……
と、画面を見ていると、女子が好きそうな可愛らしいキャラクターのスタンプで《了解》と送られてきた。
きっと、このスタンプを探していたんだろう。


それに既読をつけると、僕は急いで学園へと向かった。
理事長の話していた内容など、今の僕には知るよしもなかった━━

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