噫無情26 ページ26
ー敗けた、負けた
起きた時に覚えて居たのはこの言葉だけ。重い体を起こすと其処はどうやら医務室で。上司達が眉間に皺を寄せてこちらを見て居た。
「目が覚めたかい、A。アンタねェ、無茶も程々にしな。
女医与謝野晶子が溜息をつきながらそう溢す。彼女の異能『
が、笑っては居られない。あのポートマフィアが敵連合と手を組んだ。あの、強力な異能力者達が再び、立ちはだかる。三組織異能力戦争とは違う。協力など望めない。
「兎に角、Aちゃんは安静にしててね。与謝野先生のお陰で外傷は治ったけど一回死にかけてるんだから」
太宰はそう言うとふわりと優しく微笑んだ。よく頑張ったね、と頭を撫でる。
「太宰さん、ありがとうございました。あの侭じゃあ、私死んでました」
「ふふ、そうならなくて良かったよ。私たちはもう帰る。何かあったら呼ぶといい」
じゃあね、と太宰と与謝野が帰ると医務室らしきところはがらんとした。敢えて人払いをして居たのかは分からないが、二人がいなくなるとリカバリーガールが荷物を持って現れた。
「全く、無茶したねぇ。ほれ、荷物だよ。明日は休校だから大人しく家で寝てな」
「ありがとうございます、リカバリーガール」
窓の外を見ると朱一色だった。もうそんな時間か、と思うと慌ててコスチュームから制服に着替え、リカバリーガールにお礼を言い、医務室から出た。
昇降口で彼女は聞き覚えのある声を耳にする。
「あっあの！湯郷さん！」
声のした方に目を向ければそこにはクラスメイトが居た。気弱げな目、おどおどとした態度。
「緑谷じゃない。どうかした？」
「ありがとう！武装探偵社の人たちから聞いたんだ。湯郷さんが武装探偵社に出動を要請したって。其れに、瀕死の重傷を負ったのも」
だから、と彼は一呼吸置いてAに目を向けた。彼の何処までも純粋で澄み切ったその双眸を。
「ありがとう、湯郷さん」
「どーいたしまして、緑谷」
この時に初めてAは充足感を感じた。人を救えた喜びを。
そして、強いもう一つの決意を。
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新作です。
【文豪ストレイドッグス】綺麗ですね、貴方
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にゃんこ - 続き楽しみにしてます！ (2020年12月7日 17時) (
レス) id: 8ee5d457df (このIDを非表示/違反報告)
アストライア(プロフ) - 待ってました(^^) 後、前から言おうと思ってたのですが....福沢社長の漢字がところどころ間違われています。 (2020年2月13日 1時) (レス) id: c9fa56c96c (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね！ (2018年10月31日 18時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 気になったのですが1割ってだいぶ異能力持ってますよね？10人に一人は持ってる……多くないですか？ (2018年1月31日 16時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 頑張って下さい！ (2017年4月22日 0時) (レス) id: 4006643cac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 x他1人 | 作成日時：2016年7月28日 1時
