拾 ページ15
NO side
ぴん、と張り詰めた空気。
そこで対峙するのは、斎藤と蒼海だった。
一方、斎藤は右腰の柄を左手で握り。
もう一方、蒼海は右手に抜身の刀。
斎藤の背後には千鶴がいて、彼は彼女を守るようにしている。
そうして暫く。
イラついたように蒼海が目を細めると同時、斎藤が踏み込んだ。
一瞬で蒼海の首を薙ぐ、白刃の軌跡。
だがそれは、澄んだ金属音と共に弾かれる。
「っ......!?」
斎藤が不可解そうに眉をひそめて、そのまま弾かれたように後退する。
蒼海は薄く微笑んだままだ。
「...あんた、何者だ」
先刻の問を繰り返す斎藤に、蒼海は剣を上げることで答えた。
『そんなの決まってる。...暴力で以て自らを他人に認めさせたい、そんな不器用な獣さ』
「......その力、尋常ではあるまい」
ますます目を眇める斎藤の言葉に、蒼海は妖しげで好戦的な笑みを深める。
『僕と力比べ、する？』
そして、斎藤に力尽くの一太刀を見舞おうとした瞬間。
その切っ先を、自分の背後に振り下ろした。
同時、斎藤の居合が蒼海に襲いかかる。
すると、二つのことが、同時に起きた。
蒼海の刃を、誰かが素手で止め、
斎藤の刃を、蒼海の鞘が床へと払い落とし。
「...帰る時間です、蒼海殿」
そう声をかけたのは、蒼海の刃を素手で受け止めていた、天霧だった。
『なんだ...つまらないな』
不機嫌に吐き出す蒼海。
「......なんだあんたは」
斎藤が問う。
すると、天霧は姿勢を正して答えた。
「私は天霧九寿。...先程は、貴方のお仲間の彼と手合わせをさせて頂きました」
視線の先には、鉢金を割られて気を失っている平助が。
それを見て、尚も刀を構えようとする斎藤だったが、蒼海に力尽くで押さえつけられているために、それは叶わなかった。
『ねぇ、放したいから、力抜いて？』
蒼海に言われ、苦い顔で刀を鞘に納める。
すると、蒼海は微笑んで言う。
『じゃあね。また、機会があったら会おう』
バイバイ、と手を小さく振って、手近な窓からふわりと飛び降りる。
慌てて千鶴が下を覗くも、そこにあるのはただ、宵闇のみだった。
*********
柚子雨です！
相変わらず走ってます...読みづらくて申し訳ないです。
焦らないで文を考えたいんですが、どうにも下書きというものが性にあわないんですよね。
なので、テスト勉強はしない派です。
蒼海『関係ないよ』
...そうですね。
でもしません。
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藤堂平助
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作者名：柚子雨 | 作成日時：2018年6月17日 10時
