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僕の目は先ず、彼女の黒髪を捉えた。


赤い髪紐で結われた、綺麗な黒髪。


それから、黒曜石みたいに煌めく、確かな芯を持つ瞳。


男装を簡単に出来るほど女性として華奢で、でも完全に男装も出来ないほどに華奢。


そんな彼女は、この血塗れの建物の中で一滴たりとも血を浴びていない僕を、不審に思ったみたいだ。


警戒するように、僕を見ている。


これは___千景が欲しがりそうな子だね。


それに思い至って、知らず、微かな笑みが漏れた。


でも、それが却って彼女を警戒させちゃったみたいで。


小動物が警戒するように、僕をじっと見据えてくる瞳には、僅かな怯えがあった。


...悠長に話もしてられなさそうだね。


近づいてくる気配に気づいて、仕方なく僕は、無言で彼女に手を伸ばした。


連れ帰っちゃおうかな。


___なんて、思ったのにさ。


次の瞬間に彼女の背後から延びた銀の光が、僕の手を引かせた。


「...あんたは何者だ。何故このような子供を狙う?」


ふわり、と羽織を靡かせて下がった僕に問うのは、白い襟巻きをして、黒い着流しを着た男。


やや小柄で、僕よりは大きいくらい。


『ふふ、いいところで邪魔が入っちゃった』


本当、いいとろだったのに、


『でも、質問してあげるよ』


僕の邪魔をするからさ、


『君...名前は?』


ほら...僕は君を、殺すんだ。


「何故俺の名など...それより質問に答えろ」


キッと睨まれる。


『仕方ないなぁ。...僕の名前は空閑蒼海。長州の雇われ浪士で___』


僕の殺気で、左利きの彼は構えた。


『今から君を、殺すんだ』


真っ直ぐに、その瞳を見据えて言う。


今から殺すって、その意志だけを込めてね。


でも彼は、ちっとも怯まなかった。


「...俺は、新選組三番組組長、斎藤一。あんたのその名乗りを聞いた以上、生きて返すわけにはいかぬ故__覚悟しろ」


あまつさえ、そんなことまで言う。


...じゃあ、斎藤君。









死んでみようか?







*********


柚子雨です。

終わり方が意味不明だと、自分で思っています。

蒼海君は怒らせると怖い子ですよ。

...と言いたかったのですが。

それに私が好きなんですよ...ああいう危ない匂いの漂う殺害予告みたいなの。

実写は駄目なんですが、文章ならとことんボロボロにしたいという、普通に腐った性根を持っています。

蒼海『........』

はいそれでは、また次のお話でお会い出来たら嬉しいです!

今日中にまた更新します。

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作者名:柚子雨 | 作成日時:2018年6月17日 10時

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