3年B組金八先生-禁じられた扉- (ページ4)

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50. いかないでページ4

『Aのこと頼んだぞ』

あの日、翔央さんに言われた言葉が頭から離れられない。
どういう意味なんだ。
しかも、何で俺に頼む？
幼なじみなら、崇史や康二郎だっている。
それなのに、何で…。
翔央さんはAをどうする気なんだ？

「あ、しゅうちゃんだ」

しゅう「…A」

下足場で靴を履いている途中でAと逢う。
はぁ…ただでさえ気持ちが不安定だっていうのに、今一番顔合わせたくないやつに逢ってしまった…。

しゅう「舞子は？一緒じゃないの？」

貴女「金八先生に話があるからって。だから、ここで待つことにした」

しゅう「…そうなんだ」

舞ちゃんまだかなぁ。
靴を履いて壁にもたれながら親友を待つ彼女をつい見つめてしまう。
大人びた表情の中に少し幼さが残る頬が儚く見えた。

貴女「…ん？何？」

俺が見つめたのに気づいて微笑む。
不意に鼓動が飛び跳ねてつい目を逸らしてしまった。

しゅう「…別に」

貴女「変なしゅうちゃん(笑)」

しゅう「うるせーよ」

舞子「A！ごめんね、待たせちゃって…しゅう」

貴女「あ、舞ちゃん！ううん、大丈夫！」

舞子「そう…？じゃあ、帰ろっか」

貴女「うん、バイバイしゅうちゃん！」

俺に笑顔で手を振りながら靴を履いた舞子と去っていこうとするA。

いかないで。

ガシッ

貴女「…？！」

バサッ
カバンが落ちる音がした。

しゅう「あ…」

舞子「…！」

気がついたらもうAの腕を掴んで自分の方へ引き寄せていた。
驚きに満ちたAの表情が近づいて、その後ろで舞子の悲しそうな瞳が俺を貫く。

貴女「…しゅ、しゅうちゃん？」

しゅう「…ごめん」

すぐに彼女の腕を離して下駄箱の靴を取り下足場を出る。

貴女「しゅうちゃん！」

舞子「しゅう！」

Aと舞子の呼び声が聞こえたけど振り返ることなんて出来なかった。
早歩きで学校を出て家へと向かう。
舞子の前であんなことしなきゃ良かった。
後悔だけが俺の心を渦巻いた。

貴女「…びっくりしたっ」

しゅうちゃん…どうしたんだろ…。

舞子「…」