ヤンデレ男子とメンヘラ女子１ (ページ34)

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さんじゅうさん。ページ34

33.Aside

あれから先輩は何も言ってこないまま放課後になっていた

「A」
ちょっと早いからゆっくり部活に行こうと体育館に向かって歩いていたら
後ろから声を掛けられた

「悠真！今から悠真も行くの？」
「えーっと…そうなんだけど
あのさ」
「ん？」
「…Aって誰かと付き合ってんの」
「えっ」

そういえば言ってなかった
先輩と付き合ってること

付き合う前から部活終わりは一緒に帰ったりしてたし
付き合ったからって部活では普通にしてたから
わざわざ言うこともなかったから

「…どうなんだよ、」
「えっ、とその
……うん」
「…そっか」

そう言うと悠真は小さく自嘲気味に笑った
「…ごめん、朝はあんなこと言って
俺、知らなくてさ
彼氏持ちにあんなこと言うなんてただの自意識過剰か重い奴だよな
忘れてくれ、」

「……」

目の前の悠真は何時もより二回りぐらい小さく見えた気がした

そんなことない、ちょっと嬉しかったんだよ
私は悠真のこと友達として大好きだよ
なんて言えなかった

「じゃ、俺先行くわ」

そう言って
少しずつ離れていく背中は
もう二度と手が届かないんじゃないか
そう思って
これからも私は貴方と今までみたいに過ごしたいよ、
そんな気持ちを込めて

「待って、
ちょっと、ちょっとだけど
──嬉しかったんだよ」

少し沈黙が訪れて
まずかったかな、そう思った時

「…んで」
「え…？」
「…なんでそんなこと言うんだよ」
「だって
私は悠真のことが好きだから
これからも今までみたいに笑って仲良く過ごしたい、から」

「今までとは違ぇんだよ！」

驚く程大きな声だった

「俺にとってお前はもう友達じゃねぇんだよ
お前のことが友達としてじゃなくて
女として好きなんだよいい加減分かれよもう戻れねぇんだよ」

そう言うと悠真は
強く私の手首を掴んだ

「っ痛い」
「離して」
「ねぇ悠真何言ってるの？」

私が何を言っても悠真は何も言うことなく
私の手を引いたまま
ずんずん歩いていく

「ねぇ、どこ行くの」
「離して、お願い」
「聞いて悠真」

連れてこられたのは部室だった
悠真は鍵を開けて入るなり
自分が開けるために持ってきていたであろう鍵で扉に鍵をかけた