@宇宙音 ページ12
そんなこんなで辿り着いた、近所の高台にある公園。
面積こそ控えめだが、ちょっとした見晴台なんかもあったりして、星を見るにはもってこいの場所だろう。
視界の端にちらつく、青いマフラーと白いマフラー。一歩、また一歩と歩を進める度、前後左右にゆらゆらと揺れるそれはなんだか、俺の心情と重なる部分があるように思えた。
――同時に、たゆたうその姿が彼女自身のつかみどころの無さを表しているようにも。
数少ない街灯をいくつか見送って、ようやく目的地に着いた0時15分弱。俺が座るベンチの、数cm離れた所に彼女は座った。
生憎、天体望遠鏡なんていう立派なものは用意出来ていない。が、肉眼でもこの場所からなら、充分綺麗な星空を堪能できる。
薄暗さを演出する星々の光。
それらは決して造られた光なんかじゃなくて、俺達が産まれる何年も前から存在していた自然由来のもの。
日頃、人工の光に包まれている身としてはひどく新鮮だ。
夜空が綺麗に見えるのはちょっとした噂として、よく耳にしていた――が、実際にこうして足を運んでみるとどうだろう。
想像していたよりもずっと意外で、神秘的で。"らしくない"ことを言うならば、"パワーがもらえる" とでも言うような感覚であった。
そう考えると、たまにはこういうのも良いかもしれない。などと思えてきてしまう。
「――……ね、そらる」
「……なに？」
不意に口を開いたA。
その頬はわずかに紅潮し、口から漏れる吐息は白く染まっていて。なんとなく目をそらしながら、素っ気なく答えた。
「……えと、あの、さ」
「なんだよ」
らしさの欠片もなくどもった様子を見せる彼女。
なんだよ、そういうのやめろよ。
――変な期待するだろ。
「……すね」
「……は？」
「……っ星が綺麗ですね！」
何故か若干苛立っているかにも思える言い方。
痺れを切らしたとでもいうようなそれは、俺を動揺させるには充分すぎて。
星が綺麗ですねって、確か――ああ、なるほど。
ならば
「……月が、綺麗ですね」
「は？今日は新月で――って、ぁ」
ロマンチストなお子様少女が好きそうな展開にしてやろうじゃないか。彼女は大きな目を見開いて、その驚愕を露にする。
……そして小さな声で「私死んでもいいわ」と答えるのだった。
――数cmの間隔は、0になる。
□■□■□■
宇宙音でした。
名前の通り天文学が好きなので、そのまま書いてみました。
明日の人に期待しましょう。
お粗末様でした。
12/16 手作りケーキ＠秋奈→←12/15□■天真爛漫≒少女ロマンチスト■□@宇宙音
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マシロ - 更新頑張ってください！ (2014年12月2日 21時) (
レス) id: 59f4dd536f (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(３人目)＠ついった(プロフ) - １コメがとれているはず((初っ端からかっこかわいいりょーくんさんきてのけぞってます、毎日楽しみにさせていただきます…!! (2014年12月1日 22時) (レス) id: 1b9f958ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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