《魔入間》参りましょうMyGirl！4

138:少女、引分 ページ8

「『？！』」

「イヴちゃん対ギャリーちゃんのしっぽ綱引き！
―――ここで引き分けです！！」
「ふざけんなッ！そんなモン「これ以上はこの後の競技にも関わります！」ッ…！」

絡み合っていたしっぽの力が解かれ反動で尻もちをついた。
一拍置いて、耳が痛いくらいの拍手と声があがる。

「ゔわぁーーｯ！イヴちゃん！お疲れーっ！」
「すっごいかっこよかった！」
「ギャリー様ぁ！」
「イヴちゃん俺も落としてぇﾞーーッ！」
「あたしもぉーーっ！」

『は…っ…、…へ、あ…？…ｯ！』

大きく肩で息をするように整えていると、口の中から血の味がして慌てて舐めとった。アナウンサーが傍にしゃがんで私にマイクを向ける。

「すっ、素晴らしい大悪行でしたッ！可愛い笑顔とは裏腹に狙ったしっぽは逃さない、小悪魔な尾技…！
既に多くの観客を虜にした新人アクドルイヴちゃん！是非っ勝負の感想を！」

―――――ここで忘れてはならないのが

佐藤Aは生来”見られてこなかった”存在だということである。

魔界生中継。巨大スクリーンに映った自分。
向けられた数台のカメラとマイクに何万人もの観客、出演者達の視線。

『〜〜〜〜〜ｯッッ…！？、？！？！、！！、？』

そう。

熱戦を終えて放心状態の、今。

Aの羞恥心は第2の限界を振り切る寸前にあった。

『ひッ…ひ、あ、あぁぁあああの…っ！』
「イヴさん！！」
『くくくろむちゃ…っ！』
「いい子いい子！…よく頑張ってくれたわね。ありがとう」
『わ、わたしまたなんかっ変なっ』
「最っ高に可愛かったわよ！」

赤子をあやすみたくイヴを抱き締めて背を摩るくろむ。傍にいたアナウンサーは勿論、会場やお茶の間までがその光景に赤面する。
ただひとり、ギャリーを除いて。

「引き分けなんざ負けと一緒だ…！そんなにくろむを引退させたくねぇってか？！
あたし様の欲は渡さねぇ！あたし様は…っ！
この大武闘会で優勝して、くろむと結婚する！！」
『！そんなのっ…！「いいわ。貸して」』

アナウンサーからマイクを受け取り、イヴを支えながらギャリーに向き直るくろむ。見届ける全ての者が無意識に固唾を呑んだ。

「私もそろそろハッキリさせたいの、…ギャリー。私は貴女とは結婚しない。何故なら私は


―――――このひとと結婚するから。」

そう言ってくろむが高く掲げた手は

『…ゔん？』

イヴとしっかり、繋がれていた。

「「「……。

えﾞえﾞえﾞえﾞえﾞえﾞえﾞ！！！！」」」

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