151.5:少女、手当 ページ26
『オペラさん!』
「……」
『ごめんなさい。私が、はぐれたから』
「A様、」
『大丈夫です。…ね』
伸ばした手でオペラさんの髪に数回触れる。未だ納得はしていない表情だった。それでもオペラさんは頷いてくれて。私を抱えたまま扉へ歩を進める背に、
「待ちたまえ」
機嫌の悪さをありありと示した声が投げられた。
「それは私が目をつけたメイドだ「んにゃ俺が捕まえたんだけどね!」勝手に連れ出すな、置いていけ」
「いいえ出来ません。」
「なんだと?」
「この方はメイドではないからです。
こちらにいらっしゃるは貴方々と同じく…―――今宵の”13冠の集い”に招待された」
「んん〜?…あ!思い出した!」
「三傑・サリバン様の御令孫。そして、御令姪である」
オペラさんの言葉に続けて口を開く
「…入間です」
『A、です…』
楽しそうな顔と不可解そうな顔。熱を持った両手首より、…向けられた視線の方が居心地を悪くした。
▷▶︎▷
―――――バベルの塔・333階。
湿布と包帯でしっかり巻かれた両手首は、重りのような重量感があった。そのお陰で固定されて、動かす度にあった痛みは大分軽減されているけれど。
「……」
『入間、ごめんね』
「…Aは悪くない」
血が出なかっただけでも救いだ。ハイランクの悪魔ばかりが集うこの塔で血を滴らせたら、…想像するだけで喉の奥が冷えていく。
『(最近怪我すること多いし、本当に気をつけなきゃ…)』
「…僕、治癒魔術いっぱい勉強する!」
『!…うん。じゃあ私も一緒に練習しようかな』
「Aより先に覚えるよ!どんな怪我でも僕が治せるようになるから…!」
…そういえば、
『(自分で手当できなかった時、いつも入間がしてくれたっけ)』
私とはまた別の方向でろくでもない両親だった入間。帰ってきてくれる度、サバイバル生活で得た知識でこっそり助けてくれた
『……入間は、ずぅっと私のお医者さんだったね』
「え?なに?」
『んーん。なんでもない』
絆創膏1枚すら使わせてもらえなかった時。包帯の巻き方なんて知らなかった頃。
『あの、おじいちゃんは…』
「666階にて三傑の皆様で集まられています。
そして665階にて開かれるのが、魔界の英傑達が揃う…至高の晩餐会。」
『サーティーン・ディナー…』
あの2人の言葉が引っ掛かっている。…もしかして。いや、きっと、恐らく
『……おじいちゃん…』
不安が不信になる前に、…早くあの優しい笑顔と明るい声で名前を呼ばれたいと願った。
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kanayamamoto112(プロフ) - 参りましょうmyGirl4でのカルエゴ先生がヒロインちゃんにアクドル大運動会で着てた衣装を着せて王の教室にある部屋の1つ仮眠室のベットで押し倒して大胆な事をしてたシーンはドキドキしました。 (2022年10月11日 13時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - カエデさん» コメントありがとうございます!このカルエゴ先生を見れるのは彼女の特権ですね!キャラ崩壊しすぎないよう先生には気をつけてもらわねば…!(ブーメラン) (2021年8月16日 15時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - ルカさん» ご名答ですッ!うちのカルエゴ先生は拗らせに拗らせてるのでいつか爆発させるときをそれはもうにやにやしながら進めています…やばいこと…されましょうね……! (2021年8月16日 10時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - カルエゴ先生いつもは「厳粛」なのに最近は何か少し可愛い感じが!←語彙力よ 続きも楽しみにしてます! (2021年8月15日 8時) (レス) id: d16705dd13 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - キスから見るにカルエゴ先生いろいろ拗らせてそうですごくイイ。爆発したら夢主ちゃんヤバイ事になりそうだけどすごく楽しみです (2021年8月14日 17時) (レス) id: 560b2d19f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜雨 | 作成日時:2021年7月3日 18時