《魔入間》参りましょうMyGirl！4

149:少女、覚悟 ページ23

私の野心。欲望は、

『私っ―――――

位階を上げます！たくさん頑張って、”5”よりも、もっと…！
魔術や魔界のことを勉強して。どんな魔術があって…どんな種族がいて、どんな地域があるのかとかっ、もっといろんな場所を見てみたいです……！』

ここで、この魔界で生きていくために。

「…！！」
『あ、あと体育も頑張ろうと、ちょっと筋トレとか…こっそり…。
魔具も、ハンドガブだけじゃなくて他にも沢山創りたいなって思ったんです。シネル先輩も詳しいですし、マーチ先生は、ご…拷問魔具ばかりだけどいろんなこと教えてくれますし。1年生の時は参加出来なかった師団披露も楽しみだなあって…。入間達が造った花火よりも凄いの創れるように勉強しよう、って。

それと次の筆記試験、まずは3位に上がるように頑張ろうと思って！バラム先生の生物学も、スージー先生の魔植物とかおもしろいんですよ。……それから、

…それからっ…オペラさんとこうして過ごしたり…、一緒にお料理したり。おじいちゃんとお散歩して…入間と誕生日をお祝いして、…っ…』

何度も紙に書き起こして、その度に自分には不釣り合いだと破り捨てた。

『皆と、またパーティしたい。そうだ、ウォルターパークもリベンジしたいです…！それでッ……』

はらはらと流れていく欲に、私自身が驚いていた。
奥底ではこんなに溜め込んでいたのだと。積み重ねては自分で壊してきたのだと、呆れるくらいに。

今まで諦めてきた…捨ててきた欲を。
家族と、皆と、

―――あのひとと。

『こ、…こんなにいっぱい、欲張りですね……っ…』

それまでとても誇らしい気持ちだったのに、急に恥ずかしさが甦って下を向いた。…なんだか凄く、ちっぽけな欲に思えてしまって。
ああ、慣れないことをするのは本当に勇気がいる。
しかもそれが自分ひとりの問題ではなく、誰かを巻き込んだ欲なら尚更。

「いいえ、っ…いいえ。
とても素敵な欲望です。…とても。もっとお聞かせください。」

オペラさんの声が僅かに揺れていた。それがまるで応援してくれているような、

『(ううん。
…本当に、応援してくれてるんだ)』

オペラさんも、おじいちゃんも、入間だって。
そうだ、ずっと私の欲を願ってくれていた。背中を押そうとしてくれていた。

今改めて、覚悟を決める。
これからはもう少しだけ…自分のことを好きになろう。胸を張って言えるように。

私はこの魔界の、この家の

――――――”サリバン家の悪魔、A”だと。

150:少女、招集→←148:少女、追想

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す