145:少女、呼出 ページ17
―――順を追って整理しよう。
画面に表示されている場所の指定すらない呼び出し。今このタイミングでなければ確実に飛び跳ねて喜んだであろうお誘いに、安堵とは全く正反対の息を長く長く吐いた。
いや。
そもそもアクドル大武闘会なんて見るはずないし、私がアクドルをやると言ったところで特に反応もないと思ったのだ。そして純粋に恥ずかしかった。
あの視線の前で最高にキャワワなアクドル。…できるわけがなかった。想像しただけで体温が2度は上がった。だから、まあ、そう。おじいちゃんやオペラさんにも秘密だったし、一応、学校側であるマーチ先生の許可は(勝手に)出ていたわけだし。
つらつらと、ずらずらと。
頭の中で必死に並び立てた言い訳…否、御託とも言えるそれは
「………」
『ッ……!』
ただの椅子を玉座に見せるほどの威圧感で私を見下ろす、この恋人―――…ナベリウス・カルエゴ卿の前では。ただの妄言に過ぎなかった。
お察しの通り、私のス魔ホの充電を半分にまで減らしたのは目の前でケルベロスを従えているカルエゴ先生だ。
MINEを交換した日から業務連絡のようなやり取りしか無かった先生とのトーク画面に昨日突如として、数十件もの先生のお怒りがぶつけられていた。
《なんだこれは》
《おい》
《返事をしろ》
《また首を突っ込んでいるのか》
《アホ理事長達は知っているんだろうな》
《この衣装用意した奴の名前を教えろ》
《学校の許可は下りていないはずだが》
《A》
《覚悟は出来てるだろうな?》
ちなみにこれらは一部。ほんの一部の、抜粋である。
そして最後の一文が送信されたのは13月1日00時00分だった。
ということは。
『(最初っから最後まで見られた―――ッ…!!)』
バラム先生からのMINEを思い出す。
《優勝おめでとうAちゃん!…それと、
本当にごめんね…。》
全て合点がいく。いや、いきたくなかったけれど。
見られていたのだ。あの格好もあのアクドルポーズの数々も、悪周期風のイヴも。騒動に至る全てを。
…さて。現実逃避はここまでにしておこう。否、ここまでが”限界”だ。今から私は、
「新人アクドル、イヴとは…」
『ひッッ』
「随分な”課外授業”じゃないか……。
なあ?A…ッ!!」
『いだだだだだだ!!いたっ!いッ、ごめ、ごめんなさっ、ごめんなさぃいい!!』
ぐりぐりぐりぐり。先生の拳骨が私のこめかみにめり込んでいく。
―――13月1日。
王の教室の一室にて、地獄のお説教が幕を開けた。
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kanayamamoto112(プロフ) - 参りましょうmyGirl4でのカルエゴ先生がヒロインちゃんにアクドル大運動会で着てた衣装を着せて王の教室にある部屋の1つ仮眠室のベットで押し倒して大胆な事をしてたシーンはドキドキしました。 (2022年10月11日 13時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - カエデさん» コメントありがとうございます!このカルエゴ先生を見れるのは彼女の特権ですね!キャラ崩壊しすぎないよう先生には気をつけてもらわねば…!(ブーメラン) (2021年8月16日 15時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - ルカさん» ご名答ですッ!うちのカルエゴ先生は拗らせに拗らせてるのでいつか爆発させるときをそれはもうにやにやしながら進めています…やばいこと…されましょうね……! (2021年8月16日 10時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - カルエゴ先生いつもは「厳粛」なのに最近は何か少し可愛い感じが!←語彙力よ 続きも楽しみにしてます! (2021年8月15日 8時) (レス) id: d16705dd13 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - キスから見るにカルエゴ先生いろいろ拗らせてそうですごくイイ。爆発したら夢主ちゃんヤバイ事になりそうだけどすごく楽しみです (2021年8月14日 17時) (レス) id: 560b2d19f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜雨 | 作成日時:2021年7月3日 18時