Recipe:13-3 ページ48
「なんの為に料理作ってるんだよ」
最後まで食べることすらせず、卓さんが席を立つ。皆からどういう事だ、と言うような視線が集まる
『…わかりやすく伝えるっていう機能。お皿の上に乗せ忘れちゃうのかな料理人って』
歩いて帰ると言い張る卓さんを制して、タクシーを待つ間。私がそう言うと、楽しそうに声をあげて笑った
「言うようになったじゃねぇか」
『ナツさんに鍛えられてますんで』
「お前だって、アイツらに教えてやってねぇんだろう。お前らなにか勘違いしてねぇか、って」
『…んぐ…』
「ま、言えねぇわな。言ったところで、ちゃんと自分自身で気づくきっかけがなきゃ人ってのは変わらねぇ。
特に、名声を手にして浮かれちまってる奴はな」
呆れたように、寂しそうに目を伏せ。卓さんは2階の方を一瞥した
―――…
「夏樹、お前Aの親御さんには挨拶したのか」
「ｯ！あ…っぶねーな！何だよ突然」
危うく自分の指を剥くところだったとオヤジを睨む。…エリーゼも出発の日に「今度Aを泣かせたら許さないわよ」とか言いやがるし。どいつもこいつもお節介過ぎだろ
「なんだ、まだかよ。相変わらずどうしようもねぇ野郎だな」
「三ツ星獲るまで手出しできねーの！」
「あぁ？ったく、アイツも真面目だねぇ。お前らはなんでそんなにミシュランの星に拘るんだか」
「いやアイツは…、」
ふと。Aの顔が頭を過る。
…アイツは、アイツ自身は、星に拘っていただろうか？
”三ツ星を獲る”というのが、俺達のゴールだったか？
「ぅ…」
「！オヤジ？！」
物音のした方を向けば、オヤジが胸を抑えている。慌てて救急車と凪子を呼ぼうとして、その手を掴まれた
「Aには…っ黙っとけ、アイツ…心配するだろ…」
「…っ、わかったから。黙っとけ、な」
大事なことを、見落としていた。
オヤジが料理を酷評したこと。様子が違ったこと。Aが当然のように理解っていて、俺達が忘れかけていたこと。…忘れてはいけない。思い上がった為に犯した過ちを、繰り返してはならない。
『――…はい、もしもし…』
「悪い、寝てたよな」
『ん…大丈夫、です…』
「あー…あのさ。ジジイ、病み上がりだろ。だから、俺暫くランチだけ店手伝うわ。で、仕入れとか任せる…っていう連絡」
『ふふ…わかりました。伝えておきます』
「A」
『はい…？』
「…ごめんな。ちゃんと思い出した。1番大事なこと」
『…うん』
ほっとしたような、嬉しそうなAの声が、耳を擽った
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夜雨(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます！ひええ嬉しいお言葉…！お待ちいただきありがとうございます！2作目に続くと思いますので、どうかそちらもご愛読下さい* (2020年3月9日 0時) (
レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 更新嬉しいです！(*^o^*)頑張ってください！ずっと待ってます！ (2020年3月5日 22時) (レス) id: 79ee056cfe (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - まのるさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです…！ドラマロスもあってなかなか進まずにいますがお付き合いください…！* (2020年3月1日 13時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
まのる - 初めまして！グランメゾン東京の夢小説サイトを探していたら素敵なサイトにたどり着きました(*^^*)小説最高に面白いです！ゆっくりでいいので、更新お待ちしてます(*^^*) (2020年2月23日 1時) (レス) id: 99d3374e0d (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - satopi_cdさん» コメントありがとうございます！最近停滞しておりお待たせしておりますすみません…！頑張ります！ (2020年2月18日 19時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜雨 | 作成日時：2019年12月16日 12時
