Recipe:2-1 ページ5
『私は！そんなの絶対やりませんｯ！！！』
「なあ？！」
『ナツさんのアホ！…くるくる頭！』
「お前それしか言うことねーのか！」
『それはこっちのセリフです！もう帰りますから！』
「あ！おい！！」
脱兎のごとく去りゆくAを呼び止めるも『ばーか！』という捨て台詞だけが残る。長く息を吐いて項垂れる尾花に、笑いを堪えつつ倫子が小さな声で
｢…おばかなつき｣
｢うるさい｣
｢彼女は貴方に好意的みたいだったけど…違うのかしら｣
｢…うるさい｣
｢にしても凄いわね、まだ20代後半でしょう？｣
｢いつだってお客様にとっての最善を。最高を考えられる奴。アイツが回すホールで食う料理は”違う”｣
｢え？｣
｢一流のサービス、っていう最上のスパイスがつく｣
―――…
『報告すべきことがありますよね』
「だから悪かったよ…」
すぐに京さんに連絡を取るも、なかなか時間が合わず随分先になってしまった。しかもその間に
『私に教えてくれなかったうえ、自分は加わったなんて…！京さんのばか！』
わっと居酒屋のテーブルに顔を伏せると、申し訳なさそうに京さんがもう一度謝った。
「その事については祥平からも言われた」
『そりゃそうですよ、1抜けしてんだもん。』
「トゲが刺さるなぁ…」
『京さんが心配してくれてるのはわかります。それでも私は、この3年間ずうっと待ってた。絶対大丈夫。戻ってきてくれる。尾花夏樹から料理を取り上げることなんて誰にも出来ないんだから、って。
そうしたら、来てくれた。ナツさんが、また私を必要としてくれた。また、料理を作ってくれる。また、あの人の料理が人を幸せにする。その瞬間をつくる1人になれる。
これ以上の幸福はないのに、』
なのに、あの人は。
『いきなり女の人連れて、”こいつと三ツ星とるからお前も来い”って！！私がずっと！どんな思いでいたか考えもしないで！！しかもナツさんがスーシェフって！理解が追いつかない！！あと3年ぶりのナツさん最高にかっこいい！好き！腹立つ！』
「情緒が不安定だなぁ…あ、こら。あんまり飲みすぎるなよ」
『うう…わかってます、こんなの幼稚な嫉妬心で、我儘で。私が３年前に言った言葉なんて、ナツさんにとって現実味のない夢物語だったのに、今はナツさんがその夢物語を現実にしようとしてる。』
私なんかじゃ、きっかけになれなかった。
『ナツさんの力になりたい、仕事と私情は分けなきゃいけない。でも、』
簡単に割り切るには、離れた時間が長すぎたのだ。
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夜雨(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます！ひええ嬉しいお言葉…！お待ちいただきありがとうございます！2作目に続くと思いますので、どうかそちらもご愛読下さい* (2020年3月9日 0時) (
レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 更新嬉しいです！(*^o^*)頑張ってください！ずっと待ってます！ (2020年3月5日 22時) (レス) id: 79ee056cfe (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - まのるさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです…！ドラマロスもあってなかなか進まずにいますがお付き合いください…！* (2020年3月1日 13時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
まのる - 初めまして！グランメゾン東京の夢小説サイトを探していたら素敵なサイトにたどり着きました(*^^*)小説最高に面白いです！ゆっくりでいいので、更新お待ちしてます(*^^*) (2020年2月23日 1時) (レス) id: 99d3374e0d (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - satopi_cdさん» コメントありがとうございます！最近停滞しておりお待たせしておりますすみません…！頑張ります！ (2020年2月18日 19時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜雨 | 作成日時：2019年12月16日 12時
