Recipe:11-2 ページ39
「…好きだ。ずっとお前が欲しかった」
代わりになんてどの女もなれなかった。その時だけの欲求を満たそうとしても、いつも脳裏にはAがいて。虚しくなって、何も出来ない自分が腹立たしくて、それを繰り返す。
俺のものにしたい。俺だけを見てほしい。けれどそれをしてしまえば、仕事だけでなく、将来までもを俺が奪ってしまうことになる。
それだけはしてはならないと思った。強引にスカウトして、パリに呼んで。最初は、ただただアイツの接客が欲しかったから。でも、それはやがてAへ向けたものになる。それを自覚した時は己にぞっとした。彼女の何もかもを、自分は支配するつもりかと。
Aが俺を好きだというのは、俺の料理が自分を変えたことによる一時的な幻想だ。それを恋だ愛だのに、錯覚させてはいけない。だから、
…だから、俺は彼女の好意から目を逸らさなければ。
ああ、でも
「…ダメだった。お前が…お前が他の奴に触れられるのが。他の奴を想うのが、どうしたって我慢できなかった、」
俺のものにもできない、けれど他の男とも、繋がらないでほしい。
それはなんて、愚かな独占欲なのか。
『…ナツ、さん』
「悪い…今だけ…」
もう二度と、想わないと誓うから。
『…や、です』
「…A？」
『なんで…なんで、こんな…っこんな、遠回りして…っ！
好きでいればいいじゃないですか！こっちはもうとっくに尾花夏樹に人生捧げてるんですよ！貴方に引き抜かれて、貴方のポトフを食べたあの時から！
私の人生ナツさんに振り回されてるのに勝手にお前の為に俺は身を引いてるみたいな言い方してｯ、はァー？！なんですかそれ！そんなの全然頼んでませんし！？
責任取って最後まで幸せにするとか言えない人間が三ツ星なんて獲れるわけないでしょ、バーッカ！！！！』
「…あﾞ？！」
『なにそれ？！なんですかそれ！？今まで私そんっな勝手な思い込みに振り回されてたんですか？！私の5年間の片思いなんだったんですか？！ひとりで勝手に何でもかんでも決めて！』
「勝手に退職届出したのは何処のどいつだ！？大体お前な、いっつも絡まれやがって！！少しは危機感持てよ！」
『もっ…！持ってますよただ向こうがちょっとそれを超えてくるっていうか「意味ねーだろーが！」じゃあちゃんと傍にいてくださいよ！』
相変わらず、Aの両目からは綺麗な涙が零れている。それを力強く拭うと、俺を真っ直ぐに見つめて
『ナツさんだって…っ私の傍にいてくださいよ…！』
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夜雨(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます！ひええ嬉しいお言葉…！お待ちいただきありがとうございます！2作目に続くと思いますので、どうかそちらもご愛読下さい* (2020年3月9日 0時) (
レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 更新嬉しいです！(*^o^*)頑張ってください！ずっと待ってます！ (2020年3月5日 22時) (レス) id: 79ee056cfe (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - まのるさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです…！ドラマロスもあってなかなか進まずにいますがお付き合いください…！* (2020年3月1日 13時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
まのる - 初めまして！グランメゾン東京の夢小説サイトを探していたら素敵なサイトにたどり着きました(*^^*)小説最高に面白いです！ゆっくりでいいので、更新お待ちしてます(*^^*) (2020年2月23日 1時) (レス) id: 99d3374e0d (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - satopi_cdさん» コメントありがとうございます！最近停滞しておりお待たせしておりますすみません…！頑張ります！ (2020年2月18日 19時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜雨 | 作成日時：2019年12月16日 12時
