Recipe:9-3 ページ30
京さんの家は相変わらず、男性の一人暮らしだと思えないくらいに綺麗だった。几帳面で清潔好きな京さんらしい。…美味しんぼは、多少乱雑に積み上げられているけれど。
少ない手荷物を簡単に整理して、せめてものお礼にと京さん好みのワインに合わせたおつまみをつくる。皆みたいな料理は作れないけれど、これでも知識や舌はナツさん達に鍛えられている自信がある。
「うん、美味い！さすがだなA」
『こんなことしか出来ませんけどね。本当に、いつもいつも助けてもらってすみません』
「気にしなくていいって、もう家族みたいなもんなんだ。それにAのことは6年前にご両親から任されてるし、何かあったら北海道の親父さんに”畑に埋められる”」
『ああー…言ってましたねそんなこと…”日本人なら和食だろ”って怒ってたなぁ』
「そうそう、尾花と取っ組み合いになって」
『でも、エスコフィユが認められる度にお父さん乾杯してたって。どこのお父さんも、やることは一緒みたい』
意外とペースの早い京さんを見て、追加で何か作ろうかと立ち上がる。すると、真剣な声で呼び止められた
「A。もう自分一人で全部背負い込もうとするな」
『…は…、い』
「誰より優しくて、この仕事が大好きで、仲間が大好きなお前だから。…誰かの道が途絶えるのが耐えられなかったんだろう。でもそれは、尾花も言ったようにお前がいなくなっていい理由にはならない」
『…ん』
「大丈夫。風評被害なんてものともしないくらい、いい料理とサービスが、グランメゾン東京にはある。…大丈夫だ」
『…ｯ！』
止まっていた涙が、また溢れだしてしまう。拭いきれない不安、”あの人達の為に自分がどう犠牲になれるか”考えていることを、見抜かれていた。
それはきっと、京さんも同じことをしようとしていたから。
『…星、獲れますよね』
「ああ。」
『…この為に、京さん家に泊めてくれたんですか？』
「ん？うーん、まあそれもあるけど」
『？』
「(本当は尾花に思い知らせてやろうとしたんだけど)まあほら、倫子さんと2人きりってのもちょっと気まずいかなと思って」
『ゔっ…いやでも結構慣れてきてはいるんですよ』
「A、お客様とはあんなにすぐ打ち解けるのにな。変なとこ人見知りなんだよなぁ…」
『でっ、でもほらまだね！まだ日も浅いんで！これからですよ！ほら京さん飲んで！おつまみ作りますから！』
逃げるように話を終わらせ、窓を開ける。冷たい夜風が頬を掠めた
『幸せ、かぁ…』
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夜雨(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます！ひええ嬉しいお言葉…！お待ちいただきありがとうございます！2作目に続くと思いますので、どうかそちらもご愛読下さい* (2020年3月9日 0時) (
レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 更新嬉しいです！(*^o^*)頑張ってください！ずっと待ってます！ (2020年3月5日 22時) (レス) id: 79ee056cfe (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - まのるさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです…！ドラマロスもあってなかなか進まずにいますがお付き合いください…！* (2020年3月1日 13時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
まのる - 初めまして！グランメゾン東京の夢小説サイトを探していたら素敵なサイトにたどり着きました(*^^*)小説最高に面白いです！ゆっくりでいいので、更新お待ちしてます(*^^*) (2020年2月23日 1時) (レス) id: 99d3374e0d (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - satopi_cdさん» コメントありがとうございます！最近停滞しておりお待たせしておりますすみません…！頑張ります！ (2020年2月18日 19時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜雨 | 作成日時：2019年12月16日 12時
