取り敢えず逃げよ。【五条悟】

8話 ページ9

リビングに駆け込んでいの一番に目に飛び込んできたのは萃瑠が悟君に蹴りを入れている光景。
蹴られている悟君は吃驚はしているようだけど無限で防いでるから痛くも痒くも無さそう。

「無限解けよ」

「さっさと消えろゴミクズ男」

どこでそんな言葉遣い覚えてきたの！？！？

私の知ってる萃瑠は、もっとお淑やかで人に手を挙げた事が無い様な、心の優しい子だ。
奏恵だって、萃瑠とは違って元気で何時でも走り回っている様な、明るい子だ。

2人は私の存在に気付いてないのか、萃瑠は悟君に攻撃し続けているし、奏恵は野次を飛ばしている。

気付かれてないなら好都合。
夜蛾先生に教えて貰ったアレを使うしかない。
我が子に使うのは心苦しいが。

手を握り締め、奏恵と萃瑠の頭に振り下ろす。

「、〜〜！？」

「い゛っ！？」

悟君に使うよりも優しくしたが痛いものは痛い様で、頭を抑えて床で悶え転がっている。
その2人の腕を掴んで近くへ寄せ、口を開いた。

「いい加減にしなさい！！」

ーーー

目の前に居るのは悲しそうな顔をして怒るお母さん。

私、練奏恵には前世の記憶がある。

それに気が付いたのは齢2歳の時で、三日三晩魘された。
双子の弟である萃瑠も一緒に魘されていた。
漸く体調が良くなり、保育園に再び通園した時。

前まで居なかったキモイ奴らがそこに居た。
そこで私は察した。

「(うわ呪術廻戦)」

悲報、呪術廻戦の世界に転生してしまったらしい。
はー、無いわー。なんか呪霊見えるし...

顔を俯かせたその時視界の端に写ったのは自身の真っ白な髪の毛。

Q.呪術廻戦で白髪のキャラと言えば？

A.GTG！！

ここで一瞬頭を過(よぎ)ったのは〚五条悟女体化成り代わり〛だ。
でも、それは絶対に違うと思考の片隅へと追いやる。

なぜなら、私の瞳が母親譲りの黒目だから。

今世の母親は大層な美人と言うより可愛いめの人で、その血を受け継ぐ私も可愛いのだ。弟も然り。
アーモンド型の瞳は少しタレ目がちで、今にも零れ落ちそうな瞳がはまっている。

あ、もしかして。

私&萃瑠=五条悟とお母さんの子供

...最悪では？最強最悪の方程式では？
父親が居ないのは母親が逃げて来たからで...
逃げるって事は五条悟にバレたく無かったって事で...

はー、五条悟はクズ。ハッキリわかんだね。
少し頭を使い過ぎて疲れた。萃瑠のほっぺをモチモチしよう。
萃瑠の居る部屋の扉を開けて目が会った瞬間、思わず声が漏れた。

「「五条悟や...」」

え、

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