神様にもわからない＃2 (ページ10)

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少し沈黙が続いた。

いづみの問いに、答える事が出来ないのだろう。

いつもゲームの事ばかりで、稽古もサボりがちだけど、ここで皆と生活して、一緒に稽古もして、至は少しの情も湧かないような薄情者ではない。

何だかんだで朝練にも参加していたし、いづみの作った特別メニューの基礎連もやっているみたいだった。

寮に来た時に比べて、ゲームをしている時間も短くなっているように思う。

それに、劇団に情が湧いているからこそ、至はこの話をいづみにしたんだと思う。

この劇団がどうでもいい自分勝手な奴なら、次の役者を探す時間とか、場違いだとか、そんなことは気にもかけないだろう。

至「本当は俺もちょっと皆に当てられてその気になりかけてた。
このまま公演までゲーム時間減らして頑張るのもいいかなと思ってさ」

いづみ「だったら」

至「でも、ダメだと思う」

いづみ「なんでですか！？」

至「俺は咲也や綴みたいに、皆と打ち解けて一緒に頑張っていくことなんて出来ない。
人と深く関わる事が苦手なんだ。共同生活だって、あんまり好きじゃない。
だから、咲也たちみたいに全身全霊で舞台に打ち込む事なんて、きっと無理だ」

いづみ「それが本当の理由ですか？」

至はこのまま続けてダメだった時、皆に迷惑がかかることを心配していた。

それでもいづみは食い下がった。

それはきっと、至の中にまだ迷いがあったからだろう。

この劇団に来る前から、役者としてもそれ以外でも演劇に携わってきた分、やめていく人たちも見てきたはずだ。

いづみは至の中に、その人たちとは違う部分を見たから、引き留めたいのだろう。

諦めないいづみに折れた至は、やめる決断を保留することにした。

いづみ「皆にもこの話をしてもいいですか？」

至「ああ、もともと話すつもりだったしね」