神様にもわからない＃2 (ページ27)

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天馬side

演劇が盛んな街、天鵞絨。

そこにあるMANKAIカンパニー。ストリートACTを偶然見かけて少し気になっていた。

演技はド下手くそなのに何か引き付けられるものがあった。

だから舞台を見に行こうと思った。

ついでだからと軽い気持ちでAも誘ったが、Aがこの街で独りになったっという事をすっかり失念していた。

小さな体で気丈に振る舞う姿を見ると罪悪感が込みあがってきた。

劇場に着くとAは一層複雑な表情になった。

何があったのかは分からないけど、その眼差しからは愛しさのような何かを感じた。

舞台が終わるととても嬉しそうに役者の話をするものだから、少し腹が立って「まだまだ」だなんて言ってしまった。

それでもAは満面の笑みで「面白かった」と言うので、俺の知らないAがいるのが気に入らない一方で、思いつめたような影が消えたことに安心もした。

パンフレットを買いに行くと言って別れてかなり時間が経つが、Aが帰ってこない。

天馬「Aはまだか？」

井川「混雑してましたし、もう少しかかるんじゃないかと」

天馬「チビだから埋もれてるかもな」

井川「あ、来ましたよ」

「おまたせ。ごめん遅くなった」

天馬「どれだけ待たせるんだ」

「だって皆大きいんだもん」

天馬「お前がチビなだけだろ。ははは
で、目当てのものは買えたのか？」

「うん！バッチリ！」

天馬「よかったな」

パンフレットの入った袋を握りしめて嬉しそうにAが笑った。

来た時は嫌な思いをさせたんじゃないかと気がかりだったが、もう大丈夫みたいだ。

気付くと俺はAの頭を撫でていた。