神様にもわからない＃2 (ページ13)

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夕方、劇場の片づけを終えて寮に帰る途中、ビロードウェイで雄三さんを見かけた。

「雄三さん」

雄三「おう、神佐じゃねえか」

「今日はここでお仕事ですか？」

雄三「ああ、ワークショップがあってな。
お前は今帰りか？」

「はい、今日は劇場での稽古だったので、片付けが終わって今帰るところです」

雄三「随分荷物が多いんだな」

「皆のタオルとか飲み物とか、いろいろ」

雄三「相変わらず世話焼いてんだな。
貸せ、手伝ってやる。ちょうどお前らの様子も見てやろうと思ってたんだ」

「ありがとうございます」

雄三さんは私が持っていた保冷バッグを取り上げ、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「小せえな」と言う雄三さんに「そうやって頭撫で繰り回すから！」と反論すれば、自然と笑いが起きる。

昔はお兄さんって感じだったけど、今はお父さんって感じだ。

こうして雄三さんと荷物を持って劇場から寮へ歩いていると、昔に戻ったみたいに感じる。

楽しくて、こんな時間が終わらなければいいのにと思ってしまう。

雄三「荷物はキッチンでいいか？」

「ありがとうございます！助かりました」

雄三「おう」

でも楽しい時間はあっという間に終わってしまう。

それに今、この劇団は生まれ変わろうとしている。

新しい監督に新しい団員、もう昔の事をいつまでも引きずっていい時ではないんだ。