第三十六話 ページ36
「この間のお礼しなきゃいけないじゃん？ちょっと付き合ってよ」
「やめて、もう帰るから放して」
そう言って私の肩に回した腕を強めて顔を近づける。
それに両手で腕を押し返そうとするが、やはりビクともしない。
気付けばわらわらと一人が三人四人と人が増えてくる。
「やっとあの三人組が離れてくれた今がチャンスなんだよねぇ〜。ここ最近ずっとアンタと一緒だったから中々手が出せなくてさ」
――困ってたからラッキー
その言葉を聞いて、初めて高杉達が最近私を家まで送っていてくれた理由がわかった。
高校生達からの報復で私が狙われない様にときっと側に居てくれたのだろう。
結果的に助けられていたことに今気づき、言いつけを破って公園に来たことを悔やむ。
「ちょっと、ほんと、やめて、ってば！」
「オイ、車乗せろ」
「はい」
だが、悔やんでことが解決するわけもなく私はベンチから立たされて公園の前に止められている黒いバンまで強引に連れて行かれる。
何とか抵抗するが、そんなものは焼け石に水でしかない。
止めてと再度大声で叫べば次には口を塞がれた。
目に涙が浮かび、心の中で助けを求めたその時
「痛っ！」
「やっぱりな、高杉の読み通り」
私を強引に拘束していた男のひとりが悲痛な声を漏らして私から離れた。
後ろから聞こえた声にゆっくりと振り向けば、そこには入江がいた。
そして少し後ろに吉田君と高杉が見える。
「てかAもA、だから出歩くなってことだったんだよ」
この状況の中、固まって入江達を見る私に入江が先程まで知りたがっていた理由をようやく答えてくれた。
けれど、最早許容範囲を越えた私は固まりつつも入江を視線に映すしか今は出来ない。
「Aさんじゃ絡まれたところで対処出来ないでしょ？」
「A、こっちへ来い」
笑顔でそう言う吉田君と私を呼ぶ高杉。
震える身体を何とか動かし、吉田君と高杉の後ろに隠れる。
すると、高校生達はバツが悪そうに三人組から視線を外して口を噤んでいた。
「で、お兄さん達はどうすんの？確かにあの先生との約束は守ってるけど･･････また俺等とやる気？」
そう言って余裕とばかりに鼻で笑う入江の言葉に、誰かが言った行くぞの言葉に合わせて高校生達は皆居なくなった。
そして公園は私達四人だけになり、急に襲ってきた安堵感に身体が余計に震える。
腕を抱く様にしてなんとか強がりながら苦笑すれば、三人には呆れた様に溜息を吐かれた。
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nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します！ (2020年6月19日 20時) (
レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています！3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです！ (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanase。 | 作成日時：2020年4月11日 1時
