第二十八話 ページ28
「わっ、」
馬鹿みたいと呟いて大崎さんは私に何かを押し当てきた。
反射的にソレを受け取ってしまい、そのまま何処かへ去っていってしまう。
手元に残ったソレへ視線を落としてこれが何かを察する。
すると、背後から気怠げな高杉の声が聞こえた。
「頑張るかぁ、便利な言葉だな」
どうやら会話は全て聞いていたらしく何処か馬鹿にした雰囲気を纏いながらこちらへ歩いてきた。
「君達は一体なんなんだ！大崎に高圧的な態度を取ったり、クラスの皆を煽るようなことを言ったり――」
「別に思ったままにやってるだけだけど？」
「僕も気楽にやらせてもらってるよ」
「この学校を変えにきたんじゃないのかよ！」
怒りを募らせた久坂の言葉へ至極端的に返す入江と吉田君。
この学校を変えに来たのではないのかという問いに入江は一番の肝である教師が腐りきっていると首を傾げて自分達以前にそれが問題なのだとばかりに悩ましい表情を浮かべた。
それを聞くやいなや隣でだんだんと怒りのボルテージを上げているであろう久坂を見つめる。
「久坂、止め――」
「杉先生は違う！頑張ろうとしてる！」
私の制止も虚しく止めに入って掴んだ腕は乱暴に振り払われる。
癇にさわるのもわかるが、一々相手にしていても切りが無い。
けれど、間違っていることは間違っていると言わなければ気が済まない久坂は言葉の一つ一つに反応していく。
「あぁ、あの単細胞？アレもダメだな」
そして最後に高杉が言い放った一言で一気に空気が張り詰めたものに変わった。
「思いだけじゃダメ教師は変えられない。特に今のこの硬直しきった教育制度ではね」
――救いようのない教師は潰すしかないんだよ
徹底した教育否定論を語る高杉。
思いだけでは何も変えられないことは事実だ。
何も間違ってはいない。
けれど、だからといってやり方を問わなくていいわけでも無い。
それは久坂も同じ気持ちだったようで一呼吸おいてから静かに三人を見渡した。
「君達の様なやり方でこの学校が変えられるとは思わない」
「君の様なやり方で何が変わるんだよ」
そう言って静かに睨みあう二人。
沈黙が静かに流れる数秒。
このままでは埒があかないと後ろから引き寄せる様に久坂へ目隠しをして"そこまで"と落ち着かせる。
「ちょっ、何するんだよA！」
「まぁまぁ、高杉も。潰す相手はコイツじゃないだろ？」
すると、空気を読んでくれたのか高杉は入江が止めに入ってくれたお陰で事なきを得た
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します！ (2020年6月19日 20時) (
レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています！3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです！ (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nanase。 | 作成日時：2020年4月11日 1時
