第十七話 ページ17
「ちょっちょっちょ、久坂！A！」
授業も終わり、各々が下校だったり部活動だったりと散り散りになる時間。
久坂と教室を出てから暫くしたところで珍しく滝先生に呼び止められた。
「あの転校生ってさ、何者なの？」
すると、開口一番に飛んできた謎な質問に首を傾げる。
先日の一件を見て以来どうもあの三人組が気になる様子の滝先生は好奇心に目を輝かせて何かしらの情報を待っているのだろうけれど、生憎そんなものは持ち合わせていない。
どころかむしろ私も滝先生と同じくあの三人が気になってしょうがない。
「私が聞きたいんですけど･･････」
「俺もよくわからないんです。なんか凄いヤツなのかなって思ったけど結構馴染んでるっていうか･･････皆の前では普通なんです」
「ふ〜ん･･････」
私と久坂で各々思っていた事を口にすれば求めていた情報は得られなかったとばかりに腕を組んで難しい顔をしている。
「そんなに気になるなら本人達に確認してみたらいいんじゃないですか？」
「それだ！良いこと言うじゃんA〜！よし！そうと決まったら三人探しに行くか！」
助言程度に口から出た言葉へ私の手を握って幼子のような笑みを浮かべながらテンションが上がる滝先生。
それに苦笑しつつも、私の中で一体あの三人が放課後に何をしているのかという一抹の好奇心が湧いてしまい未だ私の手を握る滝先生へ視線を合わせた。
「私も行って良いですか？」
そして私が発言した言葉に対して余程驚いたのか、久坂も滝先生も私へ視線を集中させたまま石像の様に固まっている。
私だって一人の人間だ。
好奇心に負けることだって大いにあるというのに何がそんなに不思議なのだろうか。
「えっ、何」
「いや、Aが行きたがるなんて珍しいと思って･･････」
「確かに、"いや、私そういうの興味ないんで"って言いそう」
「二人して失礼だなオイ。だって気になるじゃん、あんなことした人達が普段何してんのか」
俺は塾があるから帰ると帰宅した優等生代表の久坂は捨て置いて、こうして私と滝先生による私と滝先生の為の自己満足探偵学校八中が結成された。
本気で調査に臨む滝先生と、半分お遊びな私達にストーカー紛いなことをされる記念すべき可哀想な一人目のターゲットは日頃校内の農作物や木々のお世話を自主的にしている吉田君だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します！ (2020年6月19日 20時) (
レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています！3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです！ (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nanase。 | 作成日時：2020年4月11日 1時
