第十六話 ページ16
唖然としている私達を差し置いて、何とか無事に生きて地上に降り立った杉先生は、入江と吉田君によって器具を外され学校へ連れて行かれた。
どんなシチュエーション？っと動揺しすぎて疑問すら真面に思考出来ず、固まったまま立ち尽くしていると今度は杉先生と打って変わってお手本のような姿勢で見事に降り立つ茶髪。
未だ阿呆面のままその様子を見ていれば、行くぞとばかりに視線を投げられた。
それにハッと意識を覚醒させ、隣で固まっている久坂を叩きながら校舎へ走らせる。
早々に波乱が巻き起こった統一テストだったがなんとか全員時間に間に合って事なきを得た。
そして放課後となった現在。
私は強引に久坂に連れられて例の三人組と下校を共にしている
「君達は誰なの？」
どストレートに質問をぶつける久坂を目尻に最早お決まりとなっている溜息を吐いた。
けれど、意外にも表情一つ変えずに淡々と言葉を返す茶髪。
「この学校を変えるために来た」
「え？」
「頑張れば夢は叶う」
「叶うと思う？Aさん」
「え？あ、うん、叶う、んじゃないかな？」
吉田君から急に名指しで話をふられ、驚きを隠せないまま生返事で言葉を返す。
あははと誤魔化しながら笑えば、歩みを止めた三人組。
「雲の上には青空が広がっているんだ」
そう言って空を見上げた茶髪を見て、思い出したとばかりにあっ、と呟く。
四人からの視線を集めつつ、鞄の中を漁れば目当てのものはすぐ出てきてくれた。
「ちゃぱ――高杉君、コレ」
癖で茶髪と云いかけた所を間一髪で訂正し、一応君付けで目の前にブレザーを差し出す。
「あの時はありがとう」
「茶髪じゃない、高杉だ」
「あぁ、危機管理能力が足りないんじゃ無くてただのおっちょこちょいってことね」
御礼の言葉も添えれば、先刻の言い間違いを理解してしまったのか渡したブレザーを着ながら何処かで聞いた事あるような台詞で視線を投げられる。
そして側では例の如くイヤミを漏らす入江。
もう勘弁ならんと入江に向き直って指を指した。
「え、なんなの？あれか、女子には意地悪しちゃいたくなるしょうもない男心か」
「普通少しはスカートの中が土手下に有る校庭とかから見えるかもって考えると思うけど。水を被った時だってあんだけ皮膚にくっついてちゃ後ろは透けてるかもとかさ。だから自分の行動を省みた方がいいんじゃない？っていったんだけど？」
――渾身の嫌みをこめて放った私の台詞はいとも簡単に打ち返された。
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nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します！ (2020年6月19日 20時) (
レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています！3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです！ (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanase。 | 作成日時：2020年4月11日 1時
