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第十一話 ページ11

そんな私の心情も知る由無しとばかりにホームルームは続いていく。
今朝の伝達事項は全国統一テストについて。
だがしかし、杉先生の口から出た言葉に私達生徒は一気に混乱に陥り、教室中がざわめき始める。
それは"この学校は全国統一テストを受けない"という普通の学校では有り得ないことだった。

「全国統一テストとは」

 その言葉に周りが動揺する中、隣に座る茶髪が皆に聞こえる様な声で言葉を発する。
すると、自然と周りは静まり返って視線を茶髪に集中させた。

「生徒の学力の状況を把握するために全国の中学校を対象とした学力テストのこと」

「そしてそれは学校を評価する判断基準の一つにもなっている」

「ソレを受けないでいいという理由は廃校になるこの学校を評価しても仕方がないから・・・・・・という事になるよね」

 茶髪の順に入江、吉田君と容赦ない発言が続き、生徒の表情は一気に暗く悲しげな面持ちに変わっていく。
そして最後には重苦しくなったこの空気にトドメでも刺すかのように微笑しながら

――つまり、この八中は最早存在する価値もない

 と言葉を放った。
それを皮切りに静まっていた教室もまた不安と悲しみが渦巻いて皆の心をジワジワと浸食しながら次々に不満が零れ落ちていく。
あの三人の言動の意図が掴めないまま眉間に皺を寄せて周囲を一瞥すると、まるで生徒を代表するかのように久坂が静かに杉先生へ苦言を呈した。

「それじゃあ僕達生徒も存在する価値がないってことですか?そんなの可笑しいじゃないですか!先生は・・・・・・それでいいんですか?」

「いいカッコしてンじゃねぇよ!」

「久坂ぁっ」

 どこか悲しみを含んだ物言いで杉先生に問いかける久坂だったが、それは今の沢渡達からすれば当然良い気分になるものでもなく怒りを露わにした沢渡が勢いよく机を叩いて立ち上がる。
一瞬ビクッと肩を鳴らした女子と対照的に私は気怠さを隠すわけでもなく頬杖をついたまま久坂の名を呼んだ。
そして今度は私へと周りの視線が集まる。

「とりあえずホームルーム中だから」

 そう言うと久坂は静かに俯き、杉先生がきまったことだからと事態の鎮圧化を図る。
そしてそのまま逃げるように教室をあとにした杉先生。
ソレにどうしても納得が出来なかったらしい久坂は立ち上がって杉先生を追掛けていく。
その様子を目尻に、心底面倒臭いと溜息をついて私は久坂の回収に動いた。

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nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています!3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです! (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nanase。 | 作成日時:2020年4月11日 1時

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