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『我々は、同胞を傷つけられない限り宥和主義を貫徹し、常に平和的であることを誓いましょう』
圧倒的な存在感に静かな力強さを滾らせ、イノセント総裁は終始穏やかな口調で宣戦布告を行った。
威風堂々とは正にこれかと、多くの人々が胸を打たれたことだろう。
これがイノセント派の根底に強く根付いたことで、派閥内に過激派を生まない雰囲気が充満したのである。
このようなイノセント派の志向を見ても分かるように、あの演説で彼は、他を圧倒するのに過激さは必ずしも必要でないことを示して見せたのだった。
『我々イノセントが望むのは、ヴィランの生まれぬ社会です。ヴィランさえ犯罪の道から救われる、そんな社会を思い描いています』
『今日、"みんなはひとりのために"という時代が終わり、"ひとりはみんなのために"という自己犠牲的な考えは淘汰される…ならば何が理想でしょうか、何を理想と掲げるべきなのでしょうか』
『"みんなはみんなのために"です。オールフォーオールという綺麗事こそが、安寧に満ちた尊き社会の鍵になると、私は、我々は、そう信じてやみません』
イノセントが演説を行った時点で、すでに根は張られていた。
後は入念に整えられた舞台の上で演じ、躍るだけ。
しかしここからが本当の闘いであることを彼らは知っている。
彼らは知っているのだ。
常に闘争の先に未来があり、闘争がなければ未来を勝ち取ることなど不可能であると。
闘いの形はどうであれ、異なる主張を持つ者同士は必ずどこかで衝突する運命にあることも。
武力を用いた戦争行動はその最たるものだろう。
戦争は常に政治の延長線上の行為であり続けるものだ。
国内では思想・体制でぶつかり、他国と政治・外交でぶつかる。
その結果、国家や社会が最終手段として持ち出すものが武力である。
そうして人間は幾度となく武力衝突と和解を繰り返し、現在までの歴史を築いてきた。
イノセントと現代社会における関係性も、同じ道を辿ることになるだろう。
今はその前段階でしかない。
いずれ遠からず訪れる"その時"に向け、"彼"は動いているのだ。
『戦争が起これば現代の社会体制は必ず崩壊する』
『ヒーローが、ヴィランが、そして"俺が"どうなろうとそれだけは絶対だ』
戦争を起こす。
激しい武力衝突を起こし、現代社会の秩序を破壊する。
それが"影住の"目的だった。
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ディちゃん(プロフ) - その轟君を私にくれ (2022年3月13日 22時) (
レス) @page38 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
じぇへな - このほの暗い?ダーク？感がすごくすきです。これからの展開も楽しみに待ってます (2020年1月2日 17時) (レス) id: 31019885e4 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます。これからの展開も楽しんでいただけると幸いです (2019年11月26日 1時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 途中から轟が洗脳されてる…いいですね〜笑 (2019年3月10日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - にあさん» コメントありがとうございます。随分お待たせしてしまいましたが更新しました。よろしくお願いします (2019年2月9日 13時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にらもやし | 作成日時：2017年11月18日 12時
