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ヴィラン連合がヒーローと警察達に対峙した頃。
影住と出久は影を抜け、神野区からほど近い廃工場にいた。
そこはいつの日か、影住が扇動を行った場所だった。
「総裁」
「おかえり総裁」
「総裁殿今お戻りですか」
「おかえりなさい」
「おかえりなさい総裁」
『あぁ、ただいま』
そこかしこから飛んでくる歓迎の声に笑顔で返し、影住はまっすぐ中央の舞台へと足を向ける。
イノセント総裁、影住A。
ヒーロー社会を否定し、ヴィランの蔓延る現代を悲観する。
純粋に高潔に、平和と希望を望む組織集団の創設者である。
彼はこの思想と組織を発起し、勢力と名乗れる程度まで急速に拡大させた張本人であり、また、同時にヴィラン連合でオールフォーワンより直々に"教育係"を任されていた人物でもある。
そのような地位を与えられていた辺り、そこそこの信頼を勝ち得ていたのは確かだろう。
しかし、実の所オールフォーワンが影住を本当の意味で"信頼"していたかは不明であった。
それは、連合で巨悪の後継を教育する立場にありながらも、彼が脳無制作の足掛かりとして使われていた事から容易に想像出来るだろう。
オールフォーワンから与えられた"個性"がその証拠となる。
影住は当初、自身が被検体となるとは想像もしていなかった。
それは教育係という立場に着き、連合内ではある程度自由な振舞いを許されていた為である。
それなりの信頼を得ていると、だから自分の代替品がすぐに現れることはないだろうと。
多少の傲慢と過剰があったからだ。
自分がオールフォーワンにとって、"有用で大事な駒"であるという自覚があったからこその慢心だった。
「自分は有用である」「自分はよく動くことが出来る」「自分はある程度他の誰より有能だ」
実に若輩者らしい傲慢さと慢心を抱き、自身の有用性に溺れていたのだ。
そんな時に生まれたのが脳無という発想であった。
影住は、それの着想を得る為の踏み台として使われたのだった。
そして多くの苦痛と屈辱を噛み締めて、自らの慢心への憎しみと激しい怒りを啜った彼は思い出した。
己の無様な姿を客観視し、いつか見た現代社会への失望を思い出したのだ。
『助けてくれなかったじゃないか』
快楽や歓喜はすぐに消えるが、鬱憤や怨念などというものはいつまでも残る。
影住Aが過去に味わった、見捨てられた、という幼稚な涙と虚しさは、幾つになっても消えていなかった。
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お久しぶりです。
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ディちゃん(プロフ) - その轟君を私にくれ (2022年3月13日 22時) (
レス) @page38 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
じぇへな - このほの暗い?ダーク？感がすごくすきです。これからの展開も楽しみに待ってます (2020年1月2日 17時) (レス) id: 31019885e4 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます。これからの展開も楽しんでいただけると幸いです (2019年11月26日 1時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 途中から轟が洗脳されてる…いいですね〜笑 (2019年3月10日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - にあさん» コメントありがとうございます。随分お待たせしてしまいましたが更新しました。よろしくお願いします (2019年2月9日 13時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にらもやし | 作成日時：2017年11月18日 12時
