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出久「今のヒーローに求められているのは人気と力と志。それは否定しないよ」
出久「けどね、かっちゃん。僕が思うに"本当のヒーロー"っていうのは、"救ける人間を選ばない"と思うんだ」
出久「たとえヴィランであろうとなかろうと、本来"ヒーロー"を名乗る者なら救って然るべきだ。人を救い守る事こそが、ヒーローのヒーローたる所以でなくちゃいけない」
爆豪「……」
爆豪が理解に苦しむ思考だった。
出久の語った"ヴィランのヒーロー"という理想像は、爆豪の持つ絶対的なヒーロー像とは大きくかけ離れていた為である。
"ヒーローは強くなければいけない"
"ヒーローは悪を挫く為に在る"
"ヒーローは善を象徴する存在である"
"ヒーローは悪を、敵を、打ち滅ぼす為に在る"
彼の固定概念が揺らぐ事は無かったが、しかしそれでも他の人間が聞けば間違いなく迷っていただろう。
それほどまで巧みに、人の根底に根差す矛盾を突いていたのだ。
出久「ヒーロー殺しじゃないけどさ、けどそれでも彼の主張と似通った点はあると思うよ」
出久「"ヒーローとは自己犠牲の果てに得られる称号でなければならない"……これも、極論だけどまぁ頷けるよね」
両手を後ろで組み、出久は爆豪に語りかける。
それを背後から見守る死柄木には、出久のその姿が影住と重なって見えていた。
こんな時ではあるが、彼の成長を実感出来たようで喜ばしく思う。
師である影住に寄りすぎているような気もするが、こいつなら、という極僅かな浅い希望はより濃くなったように感じた。
出久なら、俺達を見てくれるかもしれないと。
見捨てないで、手を差し伸べてくれるかもしれないと。
彼が決して抱いてはいけない、明るい希望を。
にたりと死柄木が不気味に笑った時、重い鉄の扉が鈍い音を立てて開いた。
室内にあった複数の目が、視線が全て一点へと注がれる。
『やぁ。席を外して申し訳ない』
そこには、全身を白で覆った彼がいた。
普段の真っ黒な服装ではなく、正反対の真っ白をその身に纏っている。
それを見た出久がすぐさま爆豪から視線と意識を外し、影住へと駆け寄った。
出久「A─」
『遅くなった』
いつものように眉を下げ、気弱そうに微笑む影住A。
しかし何処か漠然とした不安を煽るような、そんな雰囲気を放っている。
そうか。これは"違和感"だ。
黙りこくったままだった轟は、言葉には言い表せないような不穏な空気を悟っていた。
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ディちゃん(プロフ) - その轟君を私にくれ (2022年3月13日 22時) (
レス) @page38 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
じぇへな - このほの暗い?ダーク？感がすごくすきです。これからの展開も楽しみに待ってます (2020年1月2日 17時) (レス) id: 31019885e4 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます。これからの展開も楽しんでいただけると幸いです (2019年11月26日 1時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 途中から轟が洗脳されてる…いいですね〜笑 (2019年3月10日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - にあさん» コメントありがとうございます。随分お待たせしてしまいましたが更新しました。よろしくお願いします (2019年2月9日 13時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にらもやし | 作成日時：2017年11月18日 12時
