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乾いた低い笑い声と共に、ばさりと黒いロングコートが脱ぎ捨てられた。
出久「……」
ただ重力に任せて落ちている、影住の右腕が揺れる。
そしてそれを見つめていた出久の顔には、特に表情らしい表情は浮かんでいなかった。
いつも朗らかな笑みでコロコロと笑っている彼にしては珍しく、何の感情も感じさせない冷淡ともいえるものだった。
『連合のオマケは十分についた。これ以上の付加価値は望めそうにないなぁ』
出久「……」
軽く、まるで歌うかのようにそう口にする。
その傍らで重苦しい空気を纏う出久は、よく見れば何処か迷っているような目をしていた。
それを鋭敏にも察してか、影住はふらりと振り返って優しく笑いかける。
『不安かい？』
出久「…はい。彼らとは、ヴィラン連合とは対話でどうにか…」
『出来る？』
出久「…まだ、早いような気がするんです」
どんどん曇っていく出久の表情。
それを見守る影住の目は柔らかく、優しかった。
『時期尚早。正しい』
出久「！ じゃあもう少し様子を見ませんかっ、今の彼らは確かに僕らの、Aの思想にそぐわないかもしれない…でもきっと、話せばきっと分かってくれると思うんだ！」
だって彼らはいい人達だから。
みんな、優しいんだ。
傷付けたくはない。
年相応にその大きく丸い瞳を輝かせ、少年は必死に言葉を繋いだ。
それを静かに、優しい視線でもって見守る影住。
それは慈愛とも呼ぶべきか。
『うん。うん』
出久「それに、共闘できる味方が増えるのはお互いにとっても大きなメリットになるはずです。大きく事を動かしたい僕らにとっても、勢力の拡大を当面の目標に掲げるヴィラン連合にも美味しい話だから…」
『うん』
慈愛。
その広く深い慈愛はそっと出久の頭を撫でた。
ふわりとした微笑は出久にしか向けられないもの。
そこから察するに、影住の目に映る光景は彼が自らを親だと錯覚する程度には良いものだったと思われる。
実際、興奮気味にこちらを見上げ、少し早口になりながらも拙く喋り続けている弟子は可愛いものだった。
出久「――だから僕らは、強固な協力体制を築いていけると思うんです！」
『うん』
慈愛は笑っている。
左手で柔らかい出久の癖っ毛を弄びながら笑っているのだ。
『うん』
相槌はひどく優しく、室内には低く掠れた声が心地よく響いていた。
『うん。』
『不正解。』
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師弟
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ディちゃん(プロフ) - その轟君を私にくれ (2022年3月13日 22時) (
レス) @page38 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
じぇへな - このほの暗い?ダーク？感がすごくすきです。これからの展開も楽しみに待ってます (2020年1月2日 17時) (レス) id: 31019885e4 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - おれんじぜりーさん» コメントありがとうございます。これからの展開も楽しんでいただけると幸いです (2019年11月26日 1時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
おれんじぜりー - 途中から轟が洗脳されてる…いいですね〜笑 (2019年3月10日 14時) (レス) id: 89ff127a12 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - にあさん» コメントありがとうございます。随分お待たせしてしまいましたが更新しました。よろしくお願いします (2019年2月9日 13時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にらもやし | 作成日時：2017年11月18日 12時
