私が懸賞首？笑えない冗談ですね。〜ヨコハマの髪長姫の御伽噺 第二章〜【 文スト】

50話 ページ7

獏side

敦「ぎゃああああああああっ」

響き渡る敦の悲鳴。

あり得ない。おかしい。


敦は、樋口サンとやらが落とした銃を拾い上げ、芥川サンに向け打ったのだ。

完全に背後、死角を取っていた。

しかし、弾は全て空中で静止した。

そして、芥川サンの異能力に、敦の足をもってかれた。



ワタシは、敦の血が広がる中で、呆然としていた。

“ 彼 ” が近づいてきたことに気づかないほど


ガッと髪を掴まれた衝撃で、フッと現実に意識が戻った。

芥「話せ。猛獣使いをどこに隠した。」

髪を掴まれ、持ち上げられる。


芥川サンと目があった時のワタシは、きっとつまらない顔をしていたんだろう。


恐らく、真顔。

らしくもない、なんて思いながら、口を開く。

獏《うふふ、もしワタシが知っていたとして、アナタに教えると思いますか？》

口から飛び出た声も、ひどく冷たかった。


芥「言わなければ右腕を切り落とす、と云われても、か？」

獏《変わりませんねェ》


ザシュッ

そんな音とともに、右腕が持っていかれる。


あたりに血が飛び散った。

芥「僕は、約束を守る、と云ったはずだが」



獏《ッ………随分と短気ですねェ》



結局、ワタシのこのチカラは弱い子猫が必死に威嚇するのと同じようなものだけど。


こんなチカラでも、あなた達の助けになるのならば。


獏《喜んで、献上しましょう？

ワタシの命も、私のチカラも》


ワタシの目が一瞬キラリと輝くのを感じる。


獏《五里霧中》


薄暗い路地裏に、桜と桃の花びらが吹き荒れた。

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