私が懸賞首？笑えない冗談ですね。〜ヨコハマの髪長姫の御伽噺 第二章〜【 文スト】

51話 ページ11

芥川side


ふわり、と桜の花弁が目の前を横切る。


獏《フフ、そんなに殺気立ってどうしたんですかァ》


芥「ッ………！」


突然後ろから声がした。


振り向きざまに羅生門で相手の首を刎ねると、“ それ ” は、桜と桃の花弁になって消える。


獏《ン〜、ご機嫌斜めですかねェ》


桜の木の枝に座り、ニヤニヤと笑っているそいつに、僕は先程から何度も遭遇している。


何度切っても全て桜や桃の花弁になって消える。


獏《うふ、敦は、貴方ごときに負けませんよ》



ザクッ


桜の花弁が風に流されていった。


そのとき、グルルルルル…という唸り声が聞こえた


咄嗟に空間ごと切り裂くと、その切り口から花弁が噴き出す。


獏《ああ、せっかくの力作だったのに》


どこからか、声がした。







視界が晴れると、目の前に大きな白い虎が立っていた。


パキ、ボキ、と音を立てながら、片足が再生していく。



芥「………時間稼ぎか」


ちっ、と舌打ちをした。


白虎は、ひとつ大きな咆哮をあげ、僕の方に駆け出した。

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