そのメガネを外す時

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「…やからってすぐに考え方変えられるワケちゃうし、

　メガネが自己防衛になってるんも全くの間違いってワケでもないし

　あんま成長はできてへんのやけどな」


そう言って顔を上げたTOPPOは

いつも通り眉を下げて人の良さそうな顔で笑っていた。


　


「…そんなこと、ないんじゃないですか？」

「え…？」

「こんなこと…私が言えることじゃないですけど

　私のこと、同業者だって分かっててもこうして話してくださって、

　ここに来ることも許してくれて…待っててくれてるし、

　…自分のこと、まっすぐ話してくれた。

　それって、私のことを信じたいと思ってくれてるってことなのかなって…」


　
反応がないことが気になって、恥ずかしくて一度伏せた目を上げると

黒目がちの大きな瞳がAliceをじっと見詰めていた。


「…そおか、そーかもなぁ。

　そう言ってもらえて嬉しいわ。

　少しずつでも成長できとるんならえぇけどなあ…」



　
あれ、何かおかしい。

TOPPOを慰めるようなこと言うつもりなかったし

ましてやこんな、自意識過剰なこと言うなんて。

こんなの、まるで私の願望みたいじゃん。

「信じたいと思ってほしい」って言ってるみたいじゃん。

「私のことも信じて」って…この人に救われたいみたいじゃん…。


こんなの、こんなの…


この人の前じゃ演技すらできないなんて、


見詰められてドキドキするなんて、意識しちゃってるみたいじゃん…。


　


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