三十四振り目 ページ5
燭台切side
Aちゃん達が出陣して数時間。
昼も少し過ぎた頃、本丸内を慌ただしく駆け回る短刀くん達がいた。
「どうしたんだい?」
「あ!しょくだいぎり!ちょうどいいところに!」
近くにいた今剣くんを呼び止めると、そう返された。
ちょうどいいって......何がだろう。
「さっきたいこがねたちが、ていれべやにはこばれたんです! ふどうとほうちょうがきぜつしていて......!! それに......!」
そこまで言いかけてぼろぼろと大粒の涙を流す今剣くん。
それを見て自分の胸の中にゾワゾワしたものが広がっていく。
嫌な予感しかしない。
出来れば嘘であってくれ。
だがその考えは、今剣くんの言葉で打ち砕かれた。
「Aがけびいしとひとりでたたかっているって......!」
「ッ......!?」
頭を鈍器で殴られたような感覚。
一人で検非違使と......?
まだレベルも未熟で、しかも女の子が?
「......今剣くん、ありがとう。君は貞ちゃん達の手入れを手伝ってあげて。僕は主の所に行ってくる」
「しょくだいぎり......まさか!!」
「......」
行くしかない。
あの子は僕達にとって何よりも大事な子だ。
絶対に折らせない。
絶対にもう手離さない。
「......」
今剣くんが怯えた表情をしている。
きっと今の僕の顔はカッコよくないかもしれない。
けれどそんなのはどうだっていい。
あの子を救うためなら、何だってやってやる。
「......今行くよ」
待っていろ検非違使。
今すぐにでもお前らに地獄を味合わせてやる。
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麻友 - みっちゃん好きなので、みっちゃんの絡みを見て萌えています笑笑 更新楽しみにしています! (2017年9月12日 10時) (レス) id: 2d049032f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タナトス@不憫領 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月4日 21時