四十八振り目 ページ21
シンside
ザーッ ザザッ......
《やあ、シン。珍しいねぇ、君からこうして通話してくるなんて》
「悪いな、この時間に」
空中に投影された2Dモニターに映るのは、俺が審神者として勉強をしていた頃の同期、嶋創。
コイツとは審神者になった今でもプライベートで会う仲ではある。
穏やかな笑みを浮かべる嶋は、初対面からしたら全く敵意のない人物に見えるだろう。
だが実際のところコイツが俺を含めた4人の中で一番強かったりする。
正直演練で嶋の短刀部隊とドンパチやるのだけは勘弁願いたい。
それに最近だと既にほとんどの短刀を極にしたそうだ。
さらに演練で鉢合わせたくない。
《で、どうしたのさ。また師匠のところでやらかしたのかい? あ、もしかして奇襲掛けて返り討ちにされたとか......》
「何年前の話だよやめてくれ。つーかもう奇襲してねぇよ」
嶋のせいで思い出したくもない記憶が呼び起こされる。
あーやめろ、あんな酷い返り討ちなんて刀剣どころか検非違使も裸足で逃げ出すレベルなんだから今すぐ俺の頭の奥深くに一生眠っていてくれ。
《冗談だよー。それで、皆んなが寝静まったであろうこの時間に連絡したってことは緊急かな?》
「あぁ、少し調べてもらいたいことがある」
俺は一息つくと、夕飯前に聞いたAの話を全て嶋に話した。
話が終わると嶋は難しそうな表情をする。
もちろん本人も橙色の髪の刀剣女士など見たことが無かった。
だがしばし悩んだあと、また柔らかい笑みに戻り、口を開いた。
《いいよ。僕のありとあらゆる情報網を使って調べてみる》
「本当か!」
《ただ今回に関しちゃ政府の秘密情報まで盗むことになりそう。だから僕が逮捕されたら君のところにも役人がくるかも。その時は一緒に刑罰受けような》
「やめろそんな爽やかに」
まあバレないようにするよ、と嶋は笑う。
政府の情報を盗んだのがバレたとなれば、刑罰はそこそこ重いだろう。
嶋なら本当にバレなさそうだが、まさかここまでになるのは予想していない。
《見つかった情報は審神者会議で渡すよ。ヘマして失くさないようにね》
「おう、助かる」
《それじゃあ僕はもう寝るよ。おやすみ》
「おやすみー」
ブゥン、とモニター画像が消える。
何気なく時計を見れば、時刻は深夜1時を差していた。
「......寝るか」
前田が整えてくれていた布団に潜り込む。
明日の仕事を考えているうちに、俺は眠りに落ちた。
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麻友 - みっちゃん好きなので、みっちゃんの絡みを見て萌えています笑笑 更新楽しみにしています! (2017年9月12日 10時) (レス) id: 2d049032f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タナトス@不憫領 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月4日 21時