【刀剣乱舞】伊達の姫弐 (ページ18)

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四十五振り目ページ18

「......綺麗、とは......」

『あ、あぁあっ！す、すみません！つい......』

初対面の人にいきなりこんな事を言ったんだ。
そりゃあ聞き返されるに決まっている。

でも本当に綺麗な女性だ。
お世辞でも何でもない。

「......」

彼女深緑の瞳が私をただ静かに見据える。

その視線は軽蔑と言うより、好奇心と観察に近い。
しばらくの沈黙の後、納得したように彼女は口を開いた。

「なるほど、君がそうか。......一つ、君に忠告しよう。それを素直に受け取るか受け取らないかは、自由だけれど」

『ちゅ、忠告......？』

「うん。あぁ、そこまで難しいものじゃないよ。本当に単純な単純な忠告。君を不幸から助け出すためのね。

ーーーー仲間からのプレゼントは大事に身につけておく事。特に御守りみたいな、念が込められたものは誰にもバレないような場所に、肌身放さず隠して持っておけばいいかもね」

『え......』

「それだけ。もう１度言うけど、素直に受け取るか受け取らないかは君次第。まだ時間はあるから、ゆっくり考えるといいよ」

「......ねぇ、あんた何なの？」

清光が低く唸るように声を発する。
他の２人も清光と同様、殺気こそ抑えているが彼女を睨んでいる。
困惑と警戒のその両方が、３人の目には浮かんでいた。

彼女はそれに気づいているのか、少しからかうように言葉を続ける。

「うーん。分かりやすく言うなら、君らとは同族、けれど違う。そんな感じ」

「は？」

「まぁ深く考えちゃダメだよ。それじゃ、私は人を待たせているからもう行くね。運が良ければまた会うかも。運が良ければね」

くるり、と彼女は後ろを向き、そのまま歩き出した。
その時一瞬だけ何かが舞ったような気がした。

羽のような、ふわふわした柔らかいもの。
でもそれが何かは分からない。

私達は黙って彼女を見送ることしか出来なかった。

『あっ』

「？どうしたの？Aねぇ」

『あの人の名前、聞いてない』

「運が良ければ会えるって言ってたし、その時に聞けばいいんじゃない？」

『そ、それもそっか......』

「......そろそろ完全に日が暮れる頃だ。心配される前に戻るぞ」

膝丸さんの一言でハッとする。
みっちゃんと一期さんが心配して鶴丸に筋肉バスターしてしまう前に早く帰らないと。

......いや、それはそれで面白そうだからちょっとゆっくり帰ろう。