【刀剣乱舞】伊達の姫弐 (ページ2)

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三十二振り目ページ2

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『信濃くん、痛くない？』

「えへへ......これぐらい大丈夫だよ」

フラフラと私に支えられながら歩く信濃くんの脇腹には槍から受けた傷がある。
一応持ってきていた布で止血はしているものの、やはり滲んだ血の量が痛々しさを物語っていた。

「A、転生装置まであとどれぐらいだ？包丁がそろそろ危ない」

『分からない......けど、そんなに離れてないから多分もうすぐかも』

ここに来てすぐ３回の戦闘になったが、その３回目で信濃くんと包丁くんが重傷、包丁くんを抱えている貞と、それを落ちないように支えている後藤くんは中傷。

私と不動は刀装があまり取れていないが、中傷間近の軽傷。

この先の進軍は確実に不利となる。
そう判断した私達はすぐに撤退することにした。

「太鼓鐘、包丁貸せ。俺がそいつを抱える」

「大丈夫だってユキちゃん！それより後藤を......」

「うるせぇ、お前だってほとんど限界だろ。なのに無茶すんな」

「......」

図星を突かれたようだ。
貞は包丁くんを不動に抱えさせると、力無く笑う。

「悪ぃな......ユキちゃん」

「......ん」

『ふふっ。......あ、見えて来たよ！』

目と鼻の先に見える私達の仮本陣。
全員それに安堵し、あと一息と力を入れる。

ーーーーその時だった。

「カ...ハッ......！？」

不動の身体が何の前触れもなく吹っ飛ぶ。
それと同時に大量の鮮血が溢れ出す。

不動は包丁くんとともにその場に倒れた。
本当に一瞬のことで理解が出来なかったが、それは嫌でも理解させられる。

歴史修正主義者とは違う禍々しい気。

私はここに来る前の事を思い出した。
刀剣のレベルが二桁になり、何度も同じ時代を行き来すれば現れる第三勢力。

『ーーーー検非違使......！！』

ゆらりゆらり。
青い焔が揺れる。

どうもコイツらは、私達を本丸に返す気は無いようだ。