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掃除当番だったしまこを待つために昇降口へ足を運ぶ。

見えてきた変わらない大きな出入り口。その側には自販機が2台、ベンチが横並びで2個置いてある。


いつも、約束なんてなくても必ず下駄箱で待っててくれて、私を見つけると、にこって笑ってくれる先輩はやっぱりいなくて、ちょっぴり切ない。


今日は、今日からは私が1人でここで待つ番なんだ。






「四ツ木!」





『うへっ!?』





浅く座ったベンチで足をぶらぶらと遊ばせていた時、後ろから声をかけられた。


突然のことに驚いて変な声が飛び出た。恥ずかしい…。



「変な声…。」

『わ、笑わないでよ、坂田くん…。』

「ごめんごめん。」

『あ!まだ笑ってるじゃん!』




彼は同じクラスの坂田優くん。去年からの仲で、バスケ部さん。


あ!志麻先輩はね!バレー部だったの!よく見に行ってたんだよ!ばこーんってすぱいく(?)やってるのすごいかっこよかったの!



なんて、先輩のこと考えると無意識に頰がほころぶ。想像の中でもやっぱり先輩はかっこいいし、自慢の彼氏さん。彼氏、なんて言葉を使うのはちょっと気恥ずかしいけど、嬉しかったりもする魔法の言葉。




「こんなところでなにやっとるん?」


『んーとね、』


「先輩、待っとるん?」


『違うよ〜!しまこ!!先輩はもういないの!』


「寂しい?」


『寂しさ120%』



そう俯いてアスファルトを眺めるように下を向く。うぅ、寂しさ助長される…。



そううだってる私の頭にふと、坂田くんの手が乗っかろうとした、その瞬間、



「ちょっと、坂田サン?なにしようとしてるんですか?」



その伸びてきた腕をばっと、しまこが掴んだ。


んん?これどういう状況?



『しまこ〜!掃除お疲れ様ぁ!』

「ちょっと状況見ようかAちゃん、かわいいね。」

「月崎、注意する気ないやろ。」

「…私的には坂田に怒ってるから!なに坂田の分際で私の…私のAに手を出したのかしら!?!?」




と、まあよく見る言い合いが始まった。しまこと坂田くん、よく言い合ってるんだよね、仲良しなんだなあって思う!私にはああやって突っかかってこないもん、2人とも。




撫でられなかった開いたままの頭上が、なんだか無性に寂しくなった。





先輩に撫でてもらおう。

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作者名:るはな | 作成日時:2019年6月3日 0時

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