2. 噂通りの ページ2
大阪に引っ越して三ヶ月が経つ。
高校三年の春。こんな時期に転向してしまった私は、当然の如く周囲から浮いていた。三年間の絆と思い出が充満する教室に突如として放り込まれた私はただの異物でしかなかった。そして東京から来たとくれば都会人だと距離を置かれた。言葉の壁は何も母国語だけではない。同じ島に住んでいても、県を超えれば異世界。たかが一年、然れど一年。標準語を使う人間が、方言での会話が飛び交う空間で生活をするなどただの苦行でしかないのだ。
「クラスはどう？慣れてきた？」
私に気を使って、訛った標準語で行われる担任との不定期の面談もその苦行の内だ。
「普通です」
「そっか…まあ、無理しないでいいから。その内嫌でも順応し、」
「先生も」
「ん…？」
「先生も無理しなくていいですよ。標準語使うの、疲れるでしょ」
小馬鹿にしたように聞こえただろうか。実際そんなつもりはないけれど、でも苛つくのだ。その気の使われ方が、もろに可哀想だと言われているようで。
「あと一年ですし。卒業出来ればいいんで」
「……そうか」
「じゃあ、失礼します。ありがとうございました」
机の横に引っ掛けた鞄を掴んで席を立つ。一刻も早く此処から抜け出したい、心の中はそればかりだった。
皆に優しい川西先生。賢ちゃん、何て呼ばれてアイドルみたいに持て囃される貴方にとって、もしかしたら私は初めて自分に懐かない、可愛気のない生徒かもしれないですね。
「っ…何時でも！力になるから、だから言ってや！待ってんで！」
「どうも」
空気を遮断するように、教室のドアを閉めた。
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みぃ - 座布団さんこんばんは！実は長編も読ませていただいてます(o^^o)これから水田先生と仲良くなっていくのかなあと勝手にドキドキしてます！密かに更新楽しみにしてます。無理せず頑張ってください！ (2018年4月3日 0時) (
レス) id: d20f344786 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：座布団 | 作成日時：2018年2月23日 16時
