七人七色 ... Ⅱ《短編集》 (ページ18)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:40,494 hit

◇ 2 ページ18

安『そう言えば話すん初めてやんな？』

「うん、初めて」

そう、私達は2年も同じ学科のくせにまだ一度も
話したことがない。

人気者と一般人やもん、当たり前か。

安『今日昼どうするん？』

「昼？昼はー…、適当にどっか食べに」

安『俺も一緒やぁー(ﾆｺｯ』

うわあぁ、なんて可愛い笑顔なんやろ…。

女の子でもこんな笑顔可愛い人おらんよ。笑

.

.

.

なんて思ってるうちに、授業が始まった。

過去の事象を元に、自分なりに答えを出す授業。

私は正直この授業が1番嫌い。

皆みたいに完璧な答えを出せないから。

そして今日も、案の定私のペンは止まった。

それに比べて安田くんのペンは止まらない。

はぁ、早く終わんないかなー…

.

.

私がぼーっとペンを回してると、

安『どうしたん？』

「あっ…。んー、なんか上手く組み立てれんくて笑」

安『これはな。…ここ、見んねん…』

そう言って安田くんがグッと近づいて来た。

うわー、ちょっと待って！近いよ！

フワッと香る男らしい香水の匂い、引っ付いてる太もも…。

ほら、周りの人も見てるよ。

お願い離れて、心臓が…

ｸﾞｲｯ

「！」

安『なぁ聞いとる？』

周りに配られてた私の視線は、
顎を掴まれ再び安田くんに戻った。

安『せっかく説明しとんやから聞かな』

「ごめ…ん」

.

.

.

.

代表で誰かが答えることになり、私が当たった。

でも安田くんのおかげで、答えることが出来た。

安『な？あっとったやろ？』

なんて。

まるで私が当てられるの分かってたみたい。

「ありがとう、安田くん」

安『いえいえ！』

授業が終わり、席を立とうとすると

安『あれ？行かんの？』

「え？」

安『一緒に食べに』

「え⁉」

安『あれ？俺誘ったつもりやったわ笑
えー、まじかぁ』

なんでそんな顔するの？私勘違いしちゃうよ？

「えっと、」

安『じゃあ改めて。…改めて？笑まぁええわ。

ご飯、一緒に食べに行かへん？(ﾆｺｯ』

.

.

そう言って手を差し出す君は、もしかしたら深く考えてないのかも。

こうやって皆好きになるのかな。

もしそうなら、私も多分、

もう既に貴方を……

.

.

END.