陸拾伍 頭は間違うことがあっても ページ19
その後ナオミちゃんと春野さんを連れとある部屋ーーつまり代わりの隠れ家にやってきた
先程のQの攻撃を受け一時は不安定になっていたが今は顔色も元に戻り大丈夫そうだ
「大丈夫ですか?春野さんもナオミちゃんも…」
ナ「ええ、大丈夫ですわ!」
春「それにこれくらいの攻撃で弱っていては探偵社員は務まりませんものね」
その言葉にほっと一息つく
それにしてもまさか事務員までも狙われるとは想像もしていなかった
相手の首領、森鴎外殿の作戦の精密さに驚かされる
そう思い返していると傍に置いてある携帯から音が鳴る
太宰さんからだ
「はい、小林でーー
太「Aちゃん、冷静に聞いて欲しい」
…何かありましたか?」
緊迫した声に身構えてしまう
事務員の2人に悟らせないよう外に出る
太「敦君と鏡花ちゃんが攫われた。敦君は組合、鏡花ちゃんは恐らく政府機関だろう。更に私も色々とあって動きが取りにくくてね。助けるのは困難だ」
「そんな…」
恐らくこれは組合の作戦だろう
我々探偵社と違い常日頃から戦いを行っている彼らを相手にするのは此方にとって大変分が悪いのだ
ふと顔を上げるととあるものに目が止まる
「あ…あの、太宰さん。少しお聞きしたいのですが…」
頭に過ぎる最悪の仮説に声が震えてしまう
太「…どうしたんだい」
「身体に手形の痣ができる理由として、Qの異能以外に考えられるものはありますか」
太宰さんが息を飲む声がする
目の前を歩く夫婦の男性の首元に、つい最近見たような手形がついていた
たまらず声をかける
「あの、ひとつお伺いしたいのですが、これくらいの男の子に会いましたか?不気味な人形を持っている…」
男「?いや?迷子か何かか?」
会っていない…?Qの能力は彼を傷つけないと発動しない
それを考えると違う物な気もするが激しい胸騒ぎがする
「変だと思うかもしれませんがお願いです、聞いてください。旦那様は今すぐ奥様を含め誰にも会わないようにしてください、大変な事が起こります」
女「なに?変なの。行きましょ」
そう言って立ち去ってしまった
一般の方は異能という存在も知らない人も大勢いる
今異能のことを話したとして相手にされないだろう
彼の首元につく手形が頭から離れなかった
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作者名:コンバスのマリネ | 作成日時:2021年4月30日 15時