陸拾弐 The strategy of conflict ページ16
福「事務員を『餌』にしただと?!」
社長の声が響く
避難すれば間に合う、組合はその事を知らないと等と中原さんは言葉をならぺる
恐らくそれらの言葉に間違いは無いだろう
先生の言う通りこの場で1番効果のあるのは真実だから。
中「穴だと判っていても探偵社は落ちずにはいられねえ。首領の言葉だ」
嘲るように放たれたその言葉が全てだったのだろう、それを疑う者は誰一人としていなかった
福「…至急事務員に避難指示を。それから国木田に繋げ」
ーーー
中原さんが帰った後、再び晩香堂内に私達は集まる
与「真逆事務員を囮に使うだなンて…考えてもいなかったね」
与謝野さんの不安気な声が響き渡る
不安に押しつぶされそうになっている私達は誰も言葉を発しようとしない
するとそこへ着信が入る。国木田さんからだ。
どうやら鉄道会社に話を通し電車を数秒止めて貰うことになったらしい。どうやら其れにナオミちゃん達を乗せ組合から逃がす算段なのだという。
と、それを聞いていたのか先生が少し考え始める
不思議に思いそれを見ると先生はいきなり私の方を向く
江「A、今から走ると春野さん達が乗るであろう地点の一つ前の駅でその電車に乗ることが出来る」
「え、行けということですか?でも確かその次の駅では太宰さん達が…」
と先程の話を思い出しながら言う
記憶が正しければナオミちゃん達は電車に乗ったあと太宰さんと敦君と合流する筈だ
江「追っ手から逃れた時が1番気が緩む。探偵社と組合の動きが判っているマフィアが仕掛けてこないとは考えられないからね」
と言われる。
確かにその通りだ。
また、社長や先生、与謝野さんは外に出ない方がいいし賢治君はまだお金がよく判っていないことを考えると私が最適なのであろう
「判りました。それでは、行ってきます」
私はそう言うと鞄を肩にかけて晩香堂を後にした
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作者名:コンバスのマリネ | 作成日時:2021年4月30日 15時