弐拾 運命論者の悲しみ ページ22
目を開けると白い天井が目に入ったーーー
のではなく
与「あァ、ようやく目が覚めたかい」
与謝野さんの顔がありました。
「与謝野さん…ご迷惑をお掛けしました…」
私がここにいるということは無事4人揃って帰ってこれたのだろう。
安心してもう一度布団に潜り込む。与謝野さんのおかげで傷は回復しているが、少し疲労感がある。眠ろう。
与「Aが1番の重症だったンだよ、あと数分遅れていればどうなっていたことやら。疲れたんだろう、少し眠っているといい。」
そういって頭を少し撫でられた。
顔を布団に埋め疑問に思っていることを聞く。
「…与謝野さん、なんでいきなりポートマフィアが襲ってきたのでしょう。今まではここまで明確なのは無かったのに。」
与「敦だよ。」
「敦君?敦君がどうかしたのですか?」
与「敦に多額の懸賞金がかけられてね。それのせいで捕らえようと躍起になっているんだろう。」
…懸賞金か。どこの誰がかけたのかは知らないが随分と景気がいい話だ。彼を捕らえたところで、一体何をするのだろうか。実験?売買?
なんかこんなこと考えていたら気分が悪くなってきた。
「与謝野さん、少し外の空気を吸ってきます。」
与「おや、体調は大丈夫なのかい?」
「ええ。大丈夫です。」
そう言い探偵社を出て周りを少し歩く。
真実は分からない。先生なら一発で分かるのだろう。
「はァ…なんだこれ」
こんなにネガティブなのは初めてだ。
理由も分からないし、気持ちが悪い。
ぼーっと佇んでると
ドンッ
誰かにぶつかられた。
中「あ、ごめんなさ…Aちゃん?」
「敦君?!」
中「あ、ご、ごめん。ぶつかっちゃって。大丈夫だった?その…さっきの傷も含めて…」
「うん。与謝野さんが治療してくれたから。それより敦君…その荷物、何?」
そう私に聞かれ敦君は慌てて隠そうとする。バッチリ見えているけど。
私もそこまで馬鹿ではない。一応名探偵の見習いを名乗っているのだ。
大方自分がいると探偵社が危ないと考えたのだろう。そんな心配恐らく要らないのに。
「私はヒロインでもなんでもないから行かないで、なんてすがったりはしないよ。敦君が決めたことならそれを応援する。ただ…
ただ、私はもう少し、敦君と一緒にいたかったかな。」
敦君が驚いたように目を見開く。
じゃあね、と背を向け歩く。
中「Aちゃん…ありがとう」
「…うん。」
そうして私達は別々の方向に足を進めた。
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作者名:コンバスのマリネ | 作成日時:2021年4月7日 23時