青銅の迷い犬 (ページ20)

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拾玖ヨコハマギャングスタアパラダヰスページ20

迫り来る彼の異能を避け続ける。
これでも役者時代激しいアクションも行っていた。
それもあってか探偵社の中では一二位を争うほどの身軽さだと思う。

芥｢ちょこまかと…何が目的だ｣
｢さあ。少しは自分の頭で考えたらどうです？｣
芥｢何だと…！｣

頭に血が上った人間の行動はわかりやすい。
先程までより攻撃が単調だ。
チラリと懐中時計を見ると残り10秒。

これなら…
その後彼の攻撃をかわし続け距離をとる。
と同時に耳に1分の経過を告げる音が入る。

｢異能力、青銅の魔人！｣

異能を発動させ、それと同時にナイフを投げる。

芥｢何…！｣

彼の異能は外套を操るもの。
異能自体にはこの青銅の魔人は効かないため、身体の動きを封じてもあまり意味がない。
なので目の機能も止めておいた。

更に私は先程ナイフを頭を目掛けて投げている。
目が見えない状態でこれを避けるのは不可能だろう。
そう思い自らの目から溢れてくる血をシャツの裾で拭う。

ナイフは一直線に飛んでいき、刺さったーーー
かと思われた。

しかし
｢…なんで…｣

彼の異能がナイフを喰らい尽くす。
まさか音だけで…ナイフの位置を判断したのか…！

芥｢小娘、貴様の力量を侮っていた。
僕は確かに今何も見えないが、貴様を倒す方法はある。｣

芥｢『羅生門』｣

そう言い彼は黒獣を地面に突き刺す。
そして

中｢Aちゃん！！！！！｣

下から出てきた無数の針のような物に私は突き上げられたのであった。

途切れていく意識の中、私の名を必死に呼ぶ敦君が目に入った。