青銅の迷い犬 (ページ15)

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拾肆ヨコハマギャングスタアパラダヰスページ15

中「ええええええええええ！！！」

敦君の叫び声が響き渡る。
そんなに驚くことだったのだろうか。

中「えっ、Aちゃんって役者さんだったの⁉」
「そんなに驚くこと?」

その反応は想像以上で思わずのけぞってしまう。
そんなに問い詰めないでほしい…

中「だからさっきの試験の時と雰囲気が全然違うのか、ただの牛が好きな娘ではなかったんだね…」
「その設定いつまで引きずるの？次言ったら敦君のベルト二倍の長さのものに入れ替えるからね。」
中「名にその地味な嫌がらせ…わかったよもう言わないよ。」

その言葉を聞き私はため息を一つつく。いつの間にか私の前にはからのカップが12個ほどおかれていた。確かにこれだけ見れば私は牛乳大好き娘だ。自分の名誉のためにも説明する必要はあるのかもしれない。

「私が牛乳を飲む理由はね、敦君。役の幅を広げるためだよ。」
中「役の幅？」
「うん。背が高いと男役など様々な役ができるんだ。役を勝ち取るために昔から飲んできているから役者をやめてもその癖は抜けなくてね。」
中「そうなんだ…」

昔背が低かったせいで何度も役を下ろされたことがある。
まあ牛乳を飲む本当の理由は癖とかではないのだが。
これで大丈夫かと安心してホットミルクをすすると

太「あれ～確かAちゃんって背を伸ばすために今でも牛乳飲み続けてるんじゃないっけ～？あと社長が猫用に持ってる煮干しをたまにもらってるのも知ってるよ～？あれれ～？」

そんな太宰さんの言葉に思い切りむせ返る。なぜ知ってる…

太「もう成長期は終わってるのにねえ」
「な、なんなんですか太宰さん！しかも私は今の身長に満足してますよ、四捨五入すれば160ですからね！余計なお世話です！」

自分でもわかるほどの焦った声。
こんなの嘘ですと言っているも同然じゃないか。

太「あれ、でもAちゃん与謝野先生に身長測ってもらうとき毎回ちょっと背伸びしてるでしょ」
「え、なぜそれを」
太「与謝野さんから聞いたー」
「与謝野さん゛っ！！

恥ずかしくて思い切り机に突っ伏す。

顔を下げる前に見えた潤一郎君と敦君の憐れむような顔、ナオミちゃんの新しい玩具を見つけた時のような顔は一生忘れないだろう。
あと国木田さんの
国「Aが四捨五入を覚えているとは…！」
という感動しているような声も。